Z世代を叱るときに有効な「シットサンドイッチ法」とは…パワハラにならない苦言のうまい伝え方
■叱るのは「相手を成長させるため」であって、目的ではない そもそも、叱る必要があるとき、その目的は何でしょうか? 相手が改善するよう促す、ということに尽きます。 「褒める」と同様に「叱る」は手段であって目的ではないです。 それなのに、感情的になって叱っている人は、そのこと自体が目的になっていたり、怒ることで気を晴らしているだけのことが多いです。 それではメンバーの行動改善にはつながりません。 「冷静に問題を指摘」して、なぜそれが問題なのか、どうすべきか「指導」して、改善できるよう一緒に考え「誘導」する。 「相手を成長させる」というのが目的であれば、これが最適です。 ■絶対にやってはいけない叱り方の4パターン そもそも叱らない、とお伝えしましたが、とくにNGな叱り方をお伝えしておきます。 ・みんなの前で叱る ・ネチネチと長く叱る ・人格否定をする ・すでに反省している人に対して叱る 理由はお伝えしなくても、理解していただけるでしょう。 「重要な案件でのミス」「何度も繰り返すミス」「期待した案件でのミス」などのケースでは、怒りが収まらず、ついついやってしまいがちなので気をつけましょう。 4つ目の「すでに反省している人に対して叱る」に関しては詳細をお伝えしつつ、ではどうしたらいいのか、「指摘」「指導」「誘導」を具体的に解説していきます。
■「すでに反省している人」はどう誘導すればいいのか この3点は順番に進んでいくものですが、「問題を認識しているか?」「反省をしているか?」によってスタートが変わります。例えば、メンバーが顧客の機密書類を違う顧客に誤送信してしまったとしましょう。もし本人がミスに気づいてもいない場合は、「指摘」「指導」「誘導」の順に進みます。 ミスを伝え(指摘)→起きたことの重大性を教え(指導)→再発防止の対応策を一緒に考えます(誘導)。 本人がミスは認知しているけど、反省していない場合は、「指摘」はスキップし、「指導」からスタートします。 本人がミスも認知し、深く反省している場合、あらためてミスを伝えて反省を促す必要はありません。 傷口に塩を塗るようなことをしても、いいことはありません。 「誘導」に注力し、例えば添付書類を社外にメール送信する際はアラート機能をつけるとか、送る前に他の人がチェックをする体制をつくるなど、誤送信が起きないようにする対策法を考えてもらいましょう。 ■Z世代を叱るときに有効なアメリカ式のメソッド 相手にネガティブなことを指摘しないといけない際の、おすすめの手法を二つご紹介します。 ①「シットサンドウィッチ」を使う アメリカで古くからある手法で、学生時代にメイドサービスを起業して、世界トップ10CEOに選出されたクリステン・ハディードさんの奮闘記『奇跡の会社』(ダイヤモンド社)の中でも多用されているものです。 とくに「Z世代と呼ばれる若い世代に効果的」と紹介されています。 一言で言うと、いきなり「叱る」ことはせず、「褒め言葉で前後を挟みましょう」。シットサンドウィッチという提案です。 「シット」は本来あまり上品な意味合いの言葉ではないですが、文脈上「苦言」と捉えてください。「苦言」を良いニュアンスの言葉で挟むと、受け入れられやすくなります。 前述の徳川家康の叱り方の「最初に今までの功績を称えて感謝する」「最後にこの先も期待していると伝える」もこれに近い考え方でしょう。 ビジネスとプライベートでありそうな例で、「苦言」から伝えるのではなく、シットサンドウィッチしてみましょう。