「獲得しないのは、歴史的な過ち」バルセロナで高まるニコ・ウィリアムス待望論、クラブでもヤマルとのコンビ実現か「マドリーの新銀河系プロジェクトを破壊できる」
アスレティック・ビルバオ所属のニコ・ウィリアムスとバルセロナ所属のラミネ・ヤマル。21歳と16歳の若きウイングが、EURO2024におけるスペイン代表の快進撃を牽引し、大会を席巻している。そして、その注目度とともに高まっているのが、バルセロナでも彼らの共演を夢見るクレ(バルサファン)の「ニコ・ウィリアムス待望論」だ。モロッコ人記者のアクラフ・ベン・アヤド氏が、スペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムで、手紙に見立ててその想いを綴っている。 【動画】EURO2024準々決勝、スペイン対ドイツのハイライトをチェック! 「こんにちは、ニコ。来シーズン、君がどこでプレーするのか、バルサが獲得するという話がどこまで現実味があるのか、私には分からない。ひとつ言えるのは、君は幸せ者だということだ。なぜならバルセロナで、ひとりの選手に対してこれほど強い待望論が巻き起こったのは、本当に久しぶりのことだから。バルセロニスタのほぼ全員が、君を評価し、応援し、そして何よりも、君のバルサ入団を最大限支持している」 「街角やカフェテリア、レストランでは、毎日のように君の名前が響き渡り、クレの間でいまもっとも繰り返されているフレーズが、『ニコとヤマルがバルサのユニホームを着て一緒にプレーする姿は、どんなに壮観だろうか』というものだ。君への興味が膨らむあまり、あれほど切望されていた一線級のアンカー獲得の話は脇に置かれ、話題は君一色だ」 一方、戦略面からニコ獲得の必要性を訴えるのが、スペイン紙『スポルト』のミゲル・サンス記者だ。 「これほど戦略面において明確なターゲットはかつてなかった。キリアン・エムバペがマドリーに加入するこの夏、ニコとヤマルの両翼は、フロレンティーノ・ペレス会長の新銀河系プロジェクトを破壊するだけの威力を秘めている。ジョアン・ラポルタ会長は、例えレギュラークラスの選手を1人か2人売却することになっても、ニコを獲得し、ヤマルとの共演を実現させるための資金を調達しなければならない」 同じ『スポルト』紙のコラボレーター、ジョアン・マリア・バトレ氏は、移籍金(契約解除金は5800万ユーロに設定されている)と価値を照らし合わせて、ニコの獲得は実現の如何にかかわらず「歴史的」と表現する。 「バルサは、適正な金額を支払いさえすれば、再建までの時間を一気に短縮できる歴史的なチャンスを手にしている。クラブの現在の状況、そしてエムバペの加入で勢いづくマドリー。この危機を脱するのは非常に困難を極める。しかし、ニコがすべてを変える。ニコは手の届くスターだ。そして彼とヤマルのペアは、天からの贈り物だ。逆にこの状況でニコを獲得しないのは、歴史的な過ちだ」 奇しくも現地時間7月8日、機を見るに敏なラポルタ会長が、「我々にはニコ・ウィリアムスを獲得するための資金がある。私は彼のことをとても気に入っている」とコメントした。 楽観主義に基づいた発言がたびたび批判の的にされる同会長だが、全く勝算がないわけではないだろう。当然資金力で勝るプレミアリーグ勢が大きな脅威となるが、ニコの希望はラ・リーガでプレーし続けることだと伝えられている。エムバペが加わる王者マドリーに居場所がないとなれば、ステップアップ移籍の選択肢は自ずとバルサに限られる。 クレは朗報を待ち望んでいる。 文●下村正幸
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