沖縄、米兵性暴力事件初公判で被告人無罪主張 市民の怒り広まる
「県警は何をしていた!」
初公判前日の11日は沖縄県庁前で性暴力に抗議するフラワーデモが毎月行なわれる日でもあった。この日はサイレントスタンディング後に開かれた緊急集会に約70人が参加。主催者の一人で沖縄大学非常勤講師の上野さやかさんは「緊急集会を開かなければならないのはすごく悔しい」。さらに「基地問題が重なる事件は大きく報じられるが『(米兵が加害者ではない)自分の性被害は大したことではない』と語る人もいる。基地があることで見えなくなる性暴力がある」と、性暴力問題に関する沖縄の複雑な事情を語った。 12日の初公判は上野さんのほか「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代さんなど、これまで沖縄で起きた性暴力事件に抗議の声を上げ続けてきた女性たちも傍聴した。高里さんは「(被告人が)保釈されている裁判はこれまで見たことがない」とし、法廷で見た被告人が「あまりにも堂々と出てきた」と印象を語った。 今回の事件では捜査にあたった沖縄県警が、外務省に連絡しながら県には連絡せず、その後の5月に発生した別の性犯罪事件でも同様の対応をしていたことがわかっている。事件についての報道発表も行なわなかった理由を、県警は後に「被害者のプライバシー保護」と説明したが、これを高里さんは「被害者を守るかのような理屈をつけて知らせないのは逆に被害者を利用した隠蔽。許せません」と切り捨てた。11日のフラワーデモ参加者からも「県警は何をしていたのか。なぜ知らせなかったのか。地元の子どもを守ってほしい」という声が上がった。 8月の公判では少女と母親への証人尋問が行なわれる予定。法廷ではプライバシー保護のため証言台と傍聴席、被告人との間にそれぞれ遮蔽措置をとるとしている。
小川たまか・ライター