増加する「カスハラ」 パワハラやセクハラは減ったのに 従業員へのダメージ大きく業務に支障 「SNSが承認欲求型クレームを増やした」と専門家
■カスハラの定義があいまいで線引きが難しい 厚生省は法改正を検討
企業からは「カスハラかどうかの線引きは、あいまいで対策が難しい」という声もあがっています。 こうした状況から、自民党は先週、岸田首相にカスハラの対策強化を提言。 カスハラの定義を明確にし、企業に相談体制の整備を義務付けることなどが盛り込まれ、これを踏まえ厚生労働省は法改正を検討しています。 法改正について専門家は、「企業などへの罰則を盛り込んだ法整備が必要」だと話します。 【関西大学社会学部 池内裕美教授】「法整備をしたというだけで安心するのではなく、機能するような組織体制を(企業が)構築することが、この先求められる。(カスハラを)放置したら、安全配慮義務違反になるということを明確にする必要がある」 仕事に支障をきたすことも多いカスハラ。被害を少しでも減らすために具体的な対策が求められます。
■カスハラの定義を明確にし消費者の教育を
JR東日本はカスハラに対して、このような対策を打ち出しています。 対策を打ち出した背景には、JR東日本では多い時で月30件ほどの“カスハラ”が報告されていることがあります。 例えば… ・グリーン券を持たない乗客に、普通車を利用するよう伝えたところ、追いかけられて乗務員室のドアを蹴られた。 ・切符を紛失した乗客に、駅係員が再度、購入するよう促したところ、「名刺を出せ」などと罵声を浴びせ、肩を押した。 このような報告を受けてJR東日本では、4月にカスハラに対する対策の指針を策定しました。 客からの身体的・精神的な攻撃、土下座の要求や過剰なサービスの要求などがあった場合、JR東日本は「お客様への対応を致しません」、「悪質であれば警察・弁護士に相談します」としています。 一方で課題もあり、会社側に“原因の一端があるクレーム”について判断が難しい…(例えば、電車の遅延に対してのクレームなど)ということで、個別の対応マニュアルを作成し、対策を強化するとしています。
対策についてはケースバイケースの側面もあると思いますが…。 【関西テレビ 神崎博報道デスク】「企業が従業員を守るという意味では、対応が求められますし、これまでお客様は神様ですという所があって、『なるべく顧客を大切にしないといけない、それが客対応です』というところはあったと思います。しかし、逆に今度は消費者側の教育というか、『消費者もここまでやるとアウトですよ』と認知させて、いまのセクハラやパワハラのように、カスハラについての認知度を上げていけば、減っていくのではないかと思います」 「カスハラは防止すべきこと」という意識を、消費者側が深めていく時代になっています。そのためにも、カスハラの定義の明確化や、防止のための法整備を進めることが重要だと言えそうです。 (関西テレビ「newsランナー」2024年5月21日放送)
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