増加する「カスハラ」 パワハラやセクハラは減ったのに 従業員へのダメージ大きく業務に支障 「SNSが承認欲求型クレームを増やした」と専門家
■自治体の“カスハラ対策”は「名札」 フルネーム表記から名字のみ 「SNSの普及がカスハラを助長」
増加する”カスハラ”に京都市役所では… 【記者リポート】「京都市ではカスハラ対策の一環として、職員がつけている名札を、フルネームの表記から名字だけに変更しました」 実際に市役所で働く職員の名札を見ると…記載されているのは名字だけ。 京都市はことし3月、フルネームの表記をやめるよう各部局に対し通知しました。 【京都市コンプライアンス推進室 松浦裕之副室長】「動画の撮影やSNSでの個人攻撃といった、迷惑行為が多様化している状況がある。職員が安心して職務を遂行できる、職場環境を確保する必要がある」
ほかの自治体では職員が役所に来た人から「インターネット上に名前をさらす」と脅されたり、写真を撮影されたりするハラスメントが起きていて、名札を名字だけの表記にする動きは全国的にも広がっています。 【京都市職員】「名札に名前が書いてあることで、聞かれなくても見られていることはあったと思うので、心配や不安の気持ちはなくはなかったと思う」 【京都市職員】「フルネームが分かるだけで、インターネットで検索してSNSを特定したりも問題になるので。気持ちの面で安心感はあるかな」 今のところ業務に支障はありませんが、こんな懸念も…。 【京都市職員】「名字が田中なので、(所属している)コンプライアンス推進室では1人だが、大きい職場だと田中は複数いる可能性はあると思うので、電話の取り違いは心配している」
一方、カスハラへの取り組みについて「特にない」と答えた企業が半数を超えるなど、企業の対策が進んでいないのが現状です。 専門家は「SNSの普及がカスハラを助長している」と指摘します。 【関西大学社会学部 池内裕美教授】「明らかにSNSが、“承認欲求型”のクレームを増やした。日本は”カスハラ対策後進国”っていうくらい対策が遅れている」
■“カスハラ”マニュアルがない会社は 「どんな状況でも、お客さまの非ではない」
スーパーの現場ではどう対応しているのか取材しました。 【スーパー玉出取締役 工藤文子さん】「時々、お客さまからの要望が強い場合があるようです。(レジに)並んでいると、なかなか順番が回ってこないとなると、お急ぎでお買い物をされているお客さまで、『早くして』という時の対応が、強めの方もいらっしゃるのでは」 このスーパーの場合、接客のマニュアルはあるものの、カスタマーハラスメントに特化したマニュアルはなく、現場で臨機応変に対応してきたといいます。 【スーパー玉出取締役 工藤文子さん】「どんな状況であろうと、お客さまの非ではないという考えのもと、(従業員に)仕事してもらえたら、カスタマーハラスメントと受け取ることにはならないのかなとは思いますけど。当然、ご時世がそういう(カスハラ対策をする)状況である、社会的にもそうであるのであれば、考えていかなければならないというのは痛感はしています」
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