ボラティリティーに備える債券投資家、日銀が国債買い入れ減額を模索
(ブルームバーグ): 日本銀行が巨額の国債保有残高の削減を検討する中、投資家は国債利回りのさらなる上昇とボラティリティーに備えている。
先週発表されたデータによると、日銀による5月の国債買い入れはわずか4兆5000億円と2013年3月以来の低水準だった。日銀ウォッチャーの大半は今週14日の金融政策決定会合で日銀が国債買い入れの減額を決めると予想している。
日銀、早ければ今月会合で国債購入減額を具体的に検討も-関係者 (1)
長期金利の指標となる10年債利回りは5月に11年以来の高水準となる1.1%まで急上昇した後、一時0.9%台後半まで戻すなど乱高下している。ヘッジに使われるオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)と10年債のスプレッドは、日銀の国債買い入れ縮小への懸念を反映して22年以降で最も縮小。債券先物のインプライド・ボラティリティー(予想変動率)は今年の平均を上回った。
みずほ証券金融市場部の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは、市場のボラティリティーが高い中で日銀が政策の柔軟性を減らすような強いガイダンスを打ち出すとは思えないと言う。その上で、市場は目先、超長期債の買い入れ減額を織り込みにいくとみられ、「短期的には超長期セクターのスティープ化を促すだろう」と予想した。
20年にわたる量的緩和の結果、日銀の国債保有は発行残高の半分以上に積み上がった。一方、長引く為替の円安は日銀に対する利上げ圧力を強めている。
エコノミスト調査によると、多くのアナリストが日銀の追加利上げ時期の予想を前倒ししている。海外では欧州中央銀行(ECB)が利下げを実施し、他の中央銀行も政策金利の引き下げを検討している。
日本の超金融緩和政策は、投資家が債券の価格決定や取引を行うための多くのメカニズムを弱めた。日銀の調査によれば、日本の債券投資家の多くは今も価格設定や取引量といった面で債券市場が適切に機能していないと感じている。