楽天の快進撃は春の珍事か?
一方、チーム防御率の3.89は、リーグのワースト2。先発のクオリティスタート率も、37.50%と低い。開幕の美馬、3戦目の古川、5戦目の釜田と崩れたための数字だが、森原、高梨、菅原の“新人3人衆”を軸とした充実したブルペンがチームを支えている。 2017年型勝利方程式は、7回を新人の森原、8回を新外国人のハーマン、9回はクローザー松井裕。ここまで3人は、6試合で18回3分の1を投げて無失点。そろって防御率0.00だ。左の変則ワンポイントの高梨は4試合、菅原も2試合に投げて防御率0.00。ブルペンに5人も無失点男が並ぶのだ。 「安心して任せられる。ブルペンに次の失点を防ぐというつなぎの意識が生まれている。新人の3人は元々、投げっぷりが良かったが、本番に入っても、それが継続している。3人共に気持ちが強い。編成部に感謝ですよ」と与田投手コーチ。ブルペン陣はストライクで勝負していて自滅パターンが少ない。 そして苦しかった先発陣に待望の岸が加わった。9日のロッテ戦では、病み上がりで6回1失点。コンディションが上がれば、さらに安定感が増すだろう。則本と岸の2人がローテにいれば連敗の可能性が減るためペナントレースのマネジメントに計算が立つ。 与田投手コーチも言ったが、外国人のタイプのセレクトや、即戦力中継ぎのドラフト3人に、FA補強の岸と、チームのウイークポイントと戦力バランスを考え補強したフロントの仕事も評価されるべきだろう。 まだ10試合消化しただけで一回りもしていない。「ひとまわり、ふたまわりするまでは何もわからない」が、ペナントレースを語る上での常識だが、日ハムが大谷、中田を欠き大不振、オープン戦で優勝したロッテも、打線が冷え込んでいる。オリックスが勢いに乗っているが、ライバルチームが眠っている間に、貯金を作れるだけ作っておけば、この開幕ダッシュが、今後、大きな意味を持つことになってくる。実力差のあるセ・リーグとの交流戦では、ある程度、勝ち負けの計算も立つだろう。楽天の打線の勢いが、そこまでキープされれば、誰も春の珍事とは呼ばなくなるのかもしれない。