フランス人インフルエンサーのクララ・ブランが手掛ける、美濃焼の伝統技法を取り入れたブランド「ATELIER ROUGE」
ー製作過程において、どのようなこだわりがありますか。 素晴らしいアートを使っているので、その意味をデザインに込めながらも、みなさんにとって身につけやすい色だったり、ファッションに合わせやすかったりすることが、非常に悩ましいですね。 たとえば、最初にデザインした「金印」はピアスとイヤリングですが、ゴッホの『Bridge in the rain』をモチーフにしています。これはゴッホが歌川広重の『大はしあたけの夕立』を模写したものとして知られています。 2つの絵を比較すると、ゴッホが日本美術の特徴である「枠」を意識していることから、四角いフレームをイヤリングに加えました。 さらに、ここからは私の勝手な想像なのですが、ゴッホは日本に興味がありながら1回も行けなかったので「家の窓から、遠くの日本を思う」というような心情を持っていたんじゃないかと想像したんです。だからこそ、フレームを強調したのではないかなと。 私も日本が好きになってから、実際に訪れるまで7年間かかったので、日本への憧れというそれぞれ共通する想いをデザインに込めています。
職人は女性が多いのですが、私の要望が難しくても、できないと言うのではなく、それをどう実現できるかを常に考えてくださるので、初めてサンプルが出来上がったときは「こんなにデザインのままに仕上がるんだ」と感動しました。 私は日本のクラフトマンシップが世界一だと思っていましたが、その通りだったなと。みなさんに愛情を持って製作していただいていて、それぞれのアイテムに合った焼き方や焼く回数など、細かい部分にもこだわることで、私が表現したいことを形にしていただいています。
ーそれでは、今後の「ATELIER ROUGE」について教えてくだ下さい。 どんどん商品も広げていく予定で、シルクのスカーフのほか、ラボダイヤにもチャレンジしたいと考えています。また、伝統文化をブリッジするという意味では、次のステップは日本の素晴らしいクラフトマンシップを海外に持っていきたいと考えています。 そして、身につけてくれる人にとっては、少しでも助けになるアイテムでありたいと思っています。「ただのアクセサリーじゃないか」と言う人もいるかもしれませんが、ファッションは自分を世界にどう見せるか、どう見られるか、という点で非常に大事なものです。身につけるアイテムによって私たちの気持ちは変化するので、「ATELIER ROUGE」をお守りとして、ときには武器として身につけてもらえたらうれしいですね。