「大事なことは金メダルの数じゃなく、それぞれに楽しむこと」……読めばスポーツが楽しくなるおすすめの児童書
「ころんだって かっこいい」
この夏はオリンピックやパラリンピックでの選手たちの活躍に感動し、憧れを抱いた子どもたちも多いはずだ。ようやく暑さも収まり、スポーツの秋を迎えた。目いっぱい体を動かしながら、本を通して楽しさを再発見してみてはどうだろう。(松田拓也)
「だいじょうぶ! ころんだって かっこいいのが、う・ん・ど・う・か・い!」
ウルトラセブンによく似たヒーロー「セブン」が、運動会に苦手意識を持つ子どもを励ましながら一緒に踊り、玉入れなどに参加する。もとしたいづみさんがお話を作り、ふくだいわおさんが絵を手がけた『うんどうかいセブン 新装版』(世界文化社)は、スポーツと言えば誰もがなじみが深い、運動会の楽しみ方を伝える一冊だ。
徒競走で転んでしまったセブンを、子どもたちが励ます。運動会だけではなく、スポーツが持つ本来の魅力が伝わってくる。「五輪でも各国が金メダルの数に躍起になっているが、大事なのはそこじゃない。これが出来たから満足、最後まで走れてよかったとか、それぞれの考え方で競技を楽しめればいいと思う」。もとしたさんは呼びかける。
成長できるヒントも
一方、部活動などで競技に打ち込む子どもは、思うように上達せず悩むこともあるだろう。そんな時に味方になってくれそうなのが『こころの輪 オリンピック編』と『パラリンピック編』(ともに小学館クリエイティブ)だ。シリーズで、サッカー、卓球を扱った2冊に続く第3弾。前者は柔道の阿部詩(うた)選手ら4人、後者は車いすラグビーの池透(ゆき)暢(のぶ)選手ら3人が登場し、それぞれの語りで失敗や緊張を乗り越え、成長するための24項目の「ヒント」を紹介する。
担当編集者の寺澤薫さんは、「技術を学べる本は多いが、心の持ちように焦点を当てた本はあまりなかった」と、企画の意図を語る。「小学校から高校まで続けたサッカーで信頼関係や努力の大切さを学んだ反面、こんな本があればもう少しうまくやれたかも、とも思います。一つでも子どもたちの参考となり、心に残ったらうれしい」と話す。