古巣のマリノスと12年ぶりの再会。山口の43歳MF山瀬功治が感慨深い一戦に懸けた想い「衰えたとはいえ元気にやっています」
79分にピッチへ
[天皇杯準々決勝]横浜 5-1 山口/9月25日/ニッパツ三ツ沢球技場 クラブ初の8強に進出した山口が果敢に仕掛けながら、横浜に1-5で敗れた天皇杯の準々決勝。 【動画】横浜×山口ハイライト 会場に感慨深さを抱かせたのは、79分に登場した男だろう。 山瀬功治、43歳。 横浜といえば、山瀬がかつて活躍したクラブで、本人曰く、公式戦で12年ぶりの“再会”。ビハインドを追う山口のためにピッチに立ったMFは、会場から多くの注目を浴びたと言えるはずだ。 本人もやはり特別な感情があったという。 「ピッチに立ってみたら久々な感じでした。三ツ沢ではやっていましたが、マリノスと対戦するのは12年ぶりだったので感慨深いものがありました」 もっとも与えられた時は限られた。 「そんな時間も出られなかったですし、状況も状況だったので、マリノスとの試合をじっくり噛みしめる感じにはならなかったです。ただとりあえず、せっかくやるからには、ピッチに立つからには、今、自分にできることを全力でやろうと、その想いしかなかったです。 実際にみなさん、サポーターの方々は、12年経っているので、イメージと実際のプレーのギャップで、いろんな想いを持たれる方もいると思いますが、それは仕方ない部分だと感じます。それはそれとして置いておいて、とりあえずだいぶ衰えたとはいえ元気にやっていますよ、というところだけは見せたいなと考えていたので、そういう意味では頑張ってやりました」 試合後には後輩の水沼宏太が駆け寄り、松永成立GKコーチらとも会話をかわしていた姿も印象深い。 それでも「今回の試合を、格上の相手とのゲームとして経験をしにきたつもりはなく、勝ちにきたので、そういう意味では負けたのは少なからずショックだし、悔しさはあります。ただ、それを言ってもしょうがないですし、実際に力の差はあったので、それをどうするか。せっかくここまできてマリノスと対戦したことを無駄にしちゃもったいないので、リーグ戦、残り6試合に反映させなくてはいけない」とも語る。 自身は天皇杯やルヴァンカップでは出場機会を得ているが、今季のリーグ戦でピッチに立ったのは、開幕戦の1試合(2分)のみ。 「試合に出られている、出られていない、ベンチに入れている、入れていないも含めて、プロとしての成果、結果だと思っているので、そういう意味では結果を出せていないというところは一個人の選手として、悔しい部分はあります。でも、じゃあ何ができるのか、そこに向けてやっていくだけで、スタンスは変わらないです」 記憶に残るゲームを経て、チームはシーズン終盤でプレーオフ進出に向けた戦いに挑んでいく。その日々で山瀬の力がきっと必要になる瞬間が訪れるはず。多くの人はそう信じているのではないか。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)