原付免許で乗れるPCXとCB125Rが登場?スーパーカブも存続?「新原付」の走行評価が実施された
排ガス規制によって原付一種(50cc以下)が存続の危機を迎えている。そこで125ccクラスの出力を抑えた「新基準原付」が検討されているのは既報のとおりだ。 【ギャラリー】新原付候補と最後の50ccエンジン原付一覧 (22枚) 最新情報では、実際にテスト車両を用意し、運転特性を調査するテストを実施。出力制限されたCB125R、PCX、スーパーカブ110ら5台が新基準原付として用意された。これらの車両が実際に新原付として販売される可能性も? また、不正改造を防止するための検討案も明らかになった。
免許の試験官と一般ライダーが新原付のテスト車両を比較試乗
50cc以下の原付一種は、2025年10月末日に排ガス規制強化を控えているが、技術的にもコスト的にも対応が難しい。そこで125ccクラスの出力を50cc並みの4kW(5.4ps)以下に抑え、従来の「排気量」ではなく「最高出力」で原付一種の枠組みを再定義する案が検討されている。 免許区分などを管轄する警察庁では、これを「新基準原付」と呼称。2023年9月から有識者会議を設け、本格的に検討を開始した。 11月に警察庁が公表した資料によると、実車による「走行評価」を実施。これは、原付、新原付、現行110~125ccの原付二種を乗り比べ、新原付が原付と同様に安易かつ安全に運転できるか確認するのが目的だ。 9月に運転免許試験場の技能コースにおいて、免許の実技試験(いわゆる一発試験)を担当する技能試験官12名が車両を比較。さらに一般ライダーによる試乗会も10月に行い、運転特性をチェックした。プロと一般の目から、原付および新原付の差を検証するのが狙いだろう。
マニュアルや大柄ボディ、大径ホイールなど多様な試験車両を用意
最高出力をダウンさせ「新原付」として用意されたのは、PCX、CB125R、スーパーカブ110、リード125、ビジョン110の5車種(いずれもメーカーはホンダ)。バラエティが豊かで、様々な車両の運転特性を検証する意図が窺える。 まず興味深いのは、Webike+独占情報として既報のCB125R。前後17インチのフルサイズボディを持つオンロードバイクで、マニュアルクラッチの5速ミッションを搭載する。原付免許で乗れるマニュアルバイクは国内の現行モデルでは存在しないため、もし新原付として実現すれば貴重だ。 なお関係者筋によるとCB125Rが選定されたのは「125ccクラスで車格が最も大きいため」とのことだった。 スクーターのPCXは、オートマ(無段変速)の124ccエンジンを採用。余裕のあるボディと走り、高級感のあるスタイルが人気で、例年、販売上位を記録しているベストセラーだ。50ccクラスにはない所有感があり、価格にもよるが新原付として発売されたら人気が出るだろう。 リード125はオーソドックスなオートマスクーターで、125クラスらしいコンパクトな車体とフラットフロアを採用する。前後ホイールは、PCXがフロント14&リヤ13インチなのに対し、125では標準的なフロント12&リヤ10インチだ。 一方、ビジョン110は前後14インチの大径ホイールを採用する欧州市場向けスクーター。ミッションはオートマで、日本ではディオ110として販売されている。 スーパーカブ110は、言わずとしれた国民的バイクシリーズ。共通ボディの同50がラインナップされており、配達やビジネスバイクとしてもおなじみだ。50、110とも手動クラッチを備えないロータリー式の4速ミッションを搭載する。 メーカーが50ccから撤退した場合、伝統の原付一種カブが消滅してしまう。だが、新原付として登場すれば、原付免許で乗れるカブが存続することになる。 ――これらはあくまで試験車両として用意されたもので、そのまま新原付として販売されるわけではない。だが逆に言えば、市販される可能性は全くゼロではないだろう。