気候変動により消える可能性のある、世界の「絶景スポット」5選
気候変動により失われてしまう可能性のある、すばらしい景色や現象をご紹介。グレート・バリア・リーフ、アルプス、死海、ジョシュア・ツリー、アイスランドの幻想的な氷の洞窟など、危機にさらされている場所は多くある。こうした絶景が「二度と見られない」状況になる前に、いま一度気候変動について個人ができることを考えてみよう。
ジャイアントセコイアの森(アメリカ・カリフォルニア州)
近年、大規模な山火事が頻繁に発生しているカリフォルニア州では、“世界最大の樹木”といわれるジャイアントセコイアの雄大な森が被害を受けている。もともと、ジャイアントセコイアは山火事の熱によって種子を落とし、さらに枝や葉が焼かれ豊かになった土壌でしか発芽しないという、ユニークな性質。樹齢3200年に及ぶ木もあり、「不死のセコイア」と呼ばれるほど、強い生命力でも知られている。 しかし、近年の山火事は異例の規模で、ジャイアントセコイアの繁殖・再生能力を超えるダメージを与えているのだそう。米国立公園局(NPS)によれば、2020年と2021年の火災により、世界の13~19%のジャイアントセコイアが焼失したという。これほどまでに山火事が深刻化している原因のひとつが、気候変動と考えられている。気温上昇や湿度の低下は、山火事のリスクを高めるだけでなく、自然鎮火を難しくさせてしまうのだ。 セコイア&キングスキャニオン国立公園の管理者であるクレイ・ジョーダン氏は、「火災で失われたジャイアントセコイアの数は前代未聞」であり、「気候変動が、気温上昇と干ばつを招き、火災が起きやすい期間を長くしているのです。森林へのこうした新たな脅威に対抗するためには、機関を越えて連携する必要があります」と語っている。
アイスケーブ(アイスランド)
氷や雪の絶景が多く見られるアイスランド。なかでも、氷河の内部に自然にできるアイスケーブ(氷の洞窟)は、鮮やかなブルーが幻想的で、冬季限定の絶景スポットとして観光客からも人気。地熱や外気温で溶けた水が氷河の下を流れることで空洞を生み、気温が下がる冬にその流れが止まると、このような氷のトンネルとなるのだそう。 代表的なのは、アイスランド最大の氷河といわれるヴァトナヨークトル氷河内にできる、スーパーブルーの「クリスタル・ケーブ」。氷河は密度が高く、青以外の色をすべて吸収するため、美しいブルーに見えるのだとか。 しかし、気候変動により氷河の消失が進めば、この迫力あるアイスケーブも見られなくなってしまうかもしれない。世界中の氷河が縮小していることが指摘されているように、アイスランドの氷河も温暖化により徐々に失われている。アイスランド大学の氷河学者たちの研究では、2008年時点で「主要な氷帽は半世紀以内に現在の体積の25%から35%を失い、150~200年後には山頂部分の小さな氷河だけしか残らない」と試算。さらに、「2000年代に入ってからすでに、750平方キロメートル以上の氷河が失われた」という報告もなされている。