J3福島がJ2昇格プレーオフ進出決定…岩手下し3連勝締めで5位…寺田監督の超攻撃的パスサッカーで躍進
◇明治安田J3リーグ ▽最終節 福島4-1岩手(24日・いわスタ) 福島ユナイテッドがいわてグルージャ盛岡を4―1で下し、3連勝締めの5位。今季から始まるJ2昇格プレーオフ出場を決めた。J1川崎のコーチから今季就任した寺田周平監督(49)のもとで超攻撃的パスサッカーを実践。優勝した大宮に次ぐリーグ2位の64得点を挙げた。プレーオフ準決勝(12月1日)では敵地で4位・松本と対戦。最下位の岩手は来季JFLに降格する。 **** 後半28分、ゴール前の混戦からプレーオフ進出を決定づける3点目を決めた福島FW塩浜遼は、誇らしげにゴール裏のサポーターへ駆け寄った。「樋口(寛規)くんのプレスから奪って、自分が決めるだけでした。感謝しかない」。前半3分にも先制点を奪い2得点。自己最多を大幅に更新する16ゴールはリーグ3位で、超攻撃サッカーの象徴としてシーズンを駆け抜けた。 22年は11位、昨季15位と低迷していたチームを、寺田監督が変えた。現役時代から25シーズン在籍した川崎では、コーチとして鬼木達監督とともに数々のタイトルを獲得。今季から業務提携を結んだ福島で、初の監督業に挑んだ。未知の世界だったJ3リーグで最も重視したのは「選手が成長すること」。鋭い縦パスを出してゴールに迫り、奪われても強烈なプレスで即時回収することを徹底した。「ミスを恐れずチャレンジしよう」と、ゴールへの最短距離を意識させてリーグ2位の得点を量産。全盛期の川崎のようなスタイルは徐々に浸透していった。 川崎からは育成型期限付きでU―19日本代表MF大関友翔とDF松長根悠仁が加入。絶妙なノールックパスで先制点の起点になった大関は「(アシストした森晃太が)見えていたから、わざと見ないで出しました」と高い技術で貢献した。チーム最年少の19歳は、代表活動と並行しながら8得点6アシストと躍動し「フロンターレと全く一緒のサッカーではないけど、通じる部分は多い。ポゼッションスタイルは大好きなので」と手応えを見せた。 プレーオフ準決勝は熱狂的なサポーターが待ち構える敵地・松本での一戦。指揮官は「自動昇格(2位以内)を目指していたから5位には満足していないけど、プレーオフ圏内に入れたのは選手の頑張り。アウェーのサポーターを黙らせて、勝つことを楽しみにしています」と誓った。大関は「引き分けでは(決勝に)上がれない。チームのために走って戦います」と引き締めた。驚異的な成長曲線を描くチームには、まだまだ伸びしろが詰まっている。(岩崎 敦) 〇…オシム監督時代に日本代表入りし、スコットランド・プレミアリーグのセルティックにも在籍した岩手MF水野晃樹が現役ラストマッチに臨んだ。後半16分に出場すると、いきなりFKキッカーに。得点に絡めず大敗したこともあり「ベテランである自分がチームをまとめられなかったのが降格の原因の1つだと思います」と謝罪した。神奈川2部のはやぶさイレブンからJリーグに復帰した不屈の39歳は「21年間のサッカー人生は、長いようであっという間でした」と総括した。
報知新聞社