まだ追いつける!懐かしさも呼び起こす、まったく新しいSW「スケルトン・クルー」3つの魅力
子どもたちがはるかかなたの銀河を駆け巡る、新たなスペース・アドベンチャー「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」がディズニープラスで独占配信中。2025年1月1日に第6話が配信される。 【画像】大人も子どもも楽しめる、目新しさのある『スター・ウォーズ』 物語の舞台はグローグーが登場する「マンダロリアン」と同じ、ダース・ベイダーはもういない帝国が崩壊した後の銀河。だが、宇宙海賊や賞金稼ぎがのさばる、平和や正義とはほど遠い危険な時代でもある。そんな銀河で迷子になってしまった4人の子どもたちが、謎めいたジェダイのような大人と頑固なドロイドとともに冒険を繰り広げている。 銀河で迷子の子どもたちを主役にした親しみやすさと、大人には少しの懐かしさがありつつ、いい意味で目にしたままを楽しめる、まったく新しい世界観を持つ『スター・ウォーズ』だ。 『スター・ウォーズ』が 『グーニーズ』と出会った! 「『グーニーズ』や『E.T.』、『インディ・ジョーンズ』など、僕が観て育ってきた80年代の映画がこの作品のDNAの一部になっています」と語るのは、本作のショーランナーで監督・脚本を務めるジョン・ワッツ。 トム・ホランド主演の等身大『スパイダーマン』3部作を手がけ、『スパイダーマン:ホーム・カミング』の脚本家で共同クリエイターであるクリストファー・フォードと本作でも組んでおり、2人が注目を集めるきっかけになった『COP CAR/コップ・カー』も少年たちが悪徳保安官に追われるスリラーだった。 また、『グーニーズ』(1985)はスティーヴン・スピルバーグが原案・製作総指揮を務めた、彼が率いるアンブリン・エンターテインメント製作の青春冒険映画。主人公は海賊に憧れる少年や、メカ好きの少年など4人の男の子たちだ。 「スケルトン・クルー」には、ジェダイに憧れる想像力豊かなウィム(ラビ・カボット=コニャーズ)と、彼の親友で子象に似た風貌で早くも人気者となっているニール(ロバート・ティモシー・スミス)、船長を買って出たファーン(ライアン・キーラ・アームストロング)、メカオタクのKB(キリアナ・クラッター)と男子と女子が2人ずつ。 4人は、一見平和だが秘密を抱えた星アト・アティンから、古い宇宙船に乗って、はるかかなたの銀河に飛び出してしまう。事の始まりは、仕事が忙しい父親に自分自身をちゃんと見てもらえず、退屈で寂しい毎日を過ごしていたウィム。大事なテストに遅刻しそうな日、スピーダー(ホバーバイク)の改造レースに夢中になっているファーンとKBの真似をして森の中を近道するつもりが、立ち入り禁止エリアに入りこみ、たまたま宇宙船の入口を見つけることに。 地中に埋められていた宇宙船が起動してしまったのは、レバーを持ったままガイコツのように固まっていたドロイドSM-33にニールがつい触れてしまったから。「何も触るな」と言われても、実際に触れて確かめてみなければ気が済まないのが子どもたちである。 その宇宙船の船長室は、まるで『グーニーズ』に登場する伝説の海賊「片目のウィリー」の難破船のような雰囲気だ。ウィリーのように左目を失っているのは、少々荒っぽいが海賊らしく船長の命令は絶対守るSM-33。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』や「キャシアン・アンドー」に登場したK-2SOに似ており、そのころから活躍していたとすれば、かなりの年代ものになる。 退屈な日常からはみ出してしまった子どもたちは、最初こそ意見の相違もあったものの、少しずつチームとしてまとまってきた。ファーンが初めてウィムに弱気なところを見せたり(だが、励まされた後に妙案を思いつく!)、内戦が続く星ではニールの優しさが光り、初々しいときめきを感じさせる瞬間があったりと成長がうかがえる場面も。 この辺りは『スター・ウォーズ』でありつつも、まさに“スピルバーグの世界”。80年代の映画やカルチャーへのオマージュをたっぷり盛り込んでいる「ストレンジャー・シングス 未知の世界」をも連想させる。女子が足手まといのトラブルメーカーにはならず、ドロイドの扱いに慣れリーダー格を担うのはファーンであり、メカニックのKBがリアリストなのも現代的だ。 さらに第5話では、船の持ち主である大海賊の地下の隠し部屋に向かうことになるが、まるで『インディ・ジョーンズ』シリーズを思わせる、危険な迷路の仕掛けも待ち受けている。 ジェダイ?海賊の船長? ジュード・ロウが演じる“謎の男”とは 『ファンタスティック・ビースト』シリーズでダンブルドアを好演したジュード・ロウが、やさぐれた海賊(!?)ジョッド・ナ・ナウッドを楽しむように演じているのもポイント。その正体はシリーズ後半に入っても、いまだ謎に包まれている。 あるときは海賊たちを率いて“シルヴォ船長”と呼ばれていたが、完全な悪人とはいえないところも含め、小説「宝島」を宇宙に置き換えた『トレジャー・プラネット』のジョン・シルバーのよう? フクロウに似た旧友キムからは“クリムゾン・ジャック”とも呼ばれており、部下に裏切られ営倉に閉じ込められているのはジャック・スパロウっぽさも。 第2話でジョッドがウィムたちの前でフォースを使うシーンでは、ジョン・ウィリアムズの「フォースのテーマ」が流れたように、明言はしていないが、やっぱり元ジェダイなのか…? しかも第5話でウィムに言うセリフは、『エピソード1/ファントム・メナス』でクワイ=ガン・ジンがアナキン少年に言う「忘れるな。集中力が真実を見抜く」(“Always remember, your focus determines your reality.”)とまったく同じであり、もしかしたら一時期、彼の弟子だった可能性も!? クワイ=ガンの弟子といえば、ユアン・マクレガー演じるオビ・ワン=ケノービだが、もし、下積み時代にルームシェアをしていたほど親しいユアン・マクレガーとジュード・ロウが同じ師匠(リーアム・ニーソン)に仕えていたかもしれないという設定なら、2人のファンにも嬉しいところだ。 制作陣が『スター・ウォーズ』ファン ジュード・ロウ自身も10歳のときに出会い「夢中になった」という『スター・ウォーズ』。各話の監督を務めるのも『スター・ウォーズ』で育ち、現在はそれぞれのオリジナリティを生かして映画界を牽引する注目監督たちばかり。 全8話のうち、導入の第1話と最終第8話はジョン・ワッツが担当。宇宙海賊たちが集まる港を描く第2話と、星図を知り尽くしたフクロウのようなキムが登場する第3話は『ピーター・パン&ウェンディ』のデヴィッド・ロウリー。同作ではジュード・ロウがフック船長を演じた縁がある。 誤った座標で故郷とはまるで違うアト・アクランに辿り着く第4話は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞監督賞を受賞したダニエル・クワン&ダニエル・シャイナートによる“ダニエルズ”。 一転、ラニューパという星のスパの地下で冒険を繰り広げる第5話は、マーベル・スタジオ映画『サンダーボルツ*』を監督するジェイク・シュライアー。 そして1月1日に配信される第6話は「マンダロリアン」シリーズや「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」でエピソード監督を務め、SWファンが厚い信頼を寄せる俳優のブライス・ダラス・ハワード。 「マンダロリアン」シーズン1の4話で、子どもたちと一緒に遊び、カエルをはむはむするグローグーの子どもらしさを引き出したように、ウィムたちの新しい魅力を引き出してくれるかもしれない。 何かが起こるに違いない最終話直前、第7話も「マンダロリアン」シーズン3に携わり、『ミナリ』でアカデミー賞にノミネート、スピルバーグ製作総指揮『ツイスターズ』に起用されたリー・アイザック・チョンという顔ぶれだ。 そもそも、何もない辺境の星で育った、まだ何者でもないルークが自分の居場所を探して成長していく物語であり、また、何不自由なく育ったレイア姫がこれまでにない新しい世界を知り、孤高の無法者ハン・ソロが初めて他人と力を合わせて協調していくなど、青春冒険物語でもあった『スター・ウォーズ』。 だからこそ、「スケルトン・クルー」は大人世代の心もくすぐる作品なのである。 「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」は毎週水曜日、ディズニープラスにて独占配信中(全8話)。
シネマカフェ 上原礼子