史上初、2年連続大賞を受賞したのは?「料理レシピ本大賞 in Japan 2024」から見た話題書の傾向
今年で第11回目を迎える「料理レシピ本大賞 in Japan 2024」が9月に発表され、東京ドームホテルで授賞式が開催された。 【写真】大賞・準大賞を受賞した様子 同賞は「料理レシピ本の書籍としての指標を示し、また魅力をアピールし、その価値を広く浸透させること」を目的として創設。今年は総エントリー数112点(出版社45社)の中から、大賞、準大賞、各賞が選ばれた。 最初に授賞式に登壇したのは、初回からアンバサダーを務めるお笑い芸人・天野ひろゆき氏(キャイ~ン)。任命された当初は「アンバサダーの意味がわからなくて、その意味を聞いたことがとても懐かしく思い出されます。大使ということでした」と振り返った。 さらに料理レシピ本は時代を反映していると指摘。「コロナの時は、ちょっと凝った料理に挑戦してみようという本が流行ったり。アレルギーの話題が出た時は、アレルギーの方も食べられる料理の本が出たり。男性がどんどん料理をするような時代になってくると、男性中心の本が出たり。最近では時短・タイパの本が出ている」と例を挙げた。 そして受賞作の発表へ。総エントリー数112点(出版社45社)の中から、全国の書店選考委員と料理専門家の特別選考委員によって選考された。評価基準としては、一般読者が手に取って実際に作りやすい点、美味しさや健康など様々な面で日本の食文化に貢献している点が重視されたという。 料理部門の大賞に輝いたのは『弁当にも使える やる気1%ごはん作りおき』 (まるみキッチン著/KADOKAWA)。本書には1回で3食分を作ることができたり、冷蔵や冷凍で保存できたりする、使い勝手抜群の500品のレシピを収録している。 まるみキッチン氏は史上初、2年連続のレシピ本大賞受賞となった。受賞の言葉として「初の2回連続の快挙ということで、本当に光栄なことだと思います」と喜びを語った。そして「本のタイトルにあるように、料理のやる気が1%の人たちでも簡単に作れるよう、お料理のハードルを下げるように少しでも尽力していければと考えております」と今後の展望を語った。 料理部門の準大賞は『リュウジ式悪魔のレシピ2』(リュウジ著/ライツ社)(『料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか?』 河出書房新社で、ニュースなレシピ賞も同時受賞)。「悪魔的においしいのにとんでもなく実用的!」を目指した本書では、「合法たまご」、「暗殺者のパスタ」、「冷やしだしピーマン」など、料理の常識が覆される全116品が掲載されている。 リュウジ氏は本書のコンセプト通り、悪魔のメイクをして登場。「人間の皆様、料理研究家・リュウジの真の姿は悪魔のリュウジです。」と挨拶し会場を沸かせた上で、本書は「料理の普通の基礎を学んでいる方々からすると『こんな作り方するの?』という、ちょっと裏技的な驚きのあるようなレシピ本になっている」と振り返り、どれも「かなりやみつきになる味。皆さまも悪魔のトリコになっていただける」と語った。 お菓子部門の大賞は『常識やぶりのアイデアおやつ』(syun cooking著/大和書房、ニュースなレシピ賞をW受賞)。SNSフォロワー数200万人超の著者による初の著作で、家にあるものを使ってできる、目からウロコのアイデアおやつ100品が掲載されている。 syun cooking氏は「初めは出版できたことに満足していましたが、このレシピ本大賞という存在を知ってからは、チーム一丸となってこの賞を取るために全力を注いでいきました。その結果、今ここに立つことができています。本当に皆さんのおかげです」と喜びを語った。 お菓子部門の準大賞は『体にいいおやつ』(ねぎちゃん著/Gakken)と『ふつうの材料だけで作る お店みたいなスイーツレシピ』(megu'café著/KADOKAWA)の2作品が受賞した。 『体にいいおやつ』 は、子どもにも食べさせたい、体にやさしくおいしいおやつレシピを掲載。ねぎちゃん氏はその制作の背景について、自身の出産と子育てがあったと振り返った。「なかなか時間を作ることが難しく、でもやさしいものを食べさせてあげたいなという気持ちがあり。そんなところから生まれたのが体にいいおやつでした。砂糖・小麦粉を使わずに、大体ワンボールなどで作れるおやつを作るようになりました」と語った。 『ふつうの材料だけで作る お店みたいなスイーツレシピ』は、手軽にできるお店級の絶品おやつを紹介。スーパーで揃う身近な材料だけでできて、特別な道具も必要なく、工程も最小限のレシピとなっている。 megu'café氏は「お店みたいなスイーツレシピと名乗っているだけあって、工程や材料が少なくて簡単で美味しいことは大前提として考えていて。その上で、かわいい出来栄えやクオリティを重視した本になっているので、今後もたくさんの人に愛される本になれば嬉しいなと思います」と話した。 最後にアンバサダー・天野氏が登壇し、今年の受賞作について講評。今年は「定番の料理本というよりも、ちょっと常識破りというか、今までにないパターンが多かった」と評した上で、受賞者たちに向けて改めて祝福の言葉を送った。 全受賞作品は下記の通り。 ■料理部門大賞:弁当にも使える やる気1%ごはん作りおき/まるみキッチン/KADOKAWA ■料理部門 準大賞:リュウジ式悪魔のレシピ2/リュウジ/ライツ社 ■料理部門 入賞:ニチレイフーズの広報さんに教わる 食材の冷凍、これが正解です!/株式会社ニチレイフーズ/KADOKAWA ■料理部門 入賞:23時のおつまみ研究所/小田真規子,スケラッコ(絵/マンガ)/ポプラ社 ■料理部門 入賞:手軽 あっさり 毎日食べたい あたらしい家中華/酒徒/マガジンハウス ■こどもの本賞:とびきりおいしい おうちごはん/野村友里/小学館クリエイティブ ■エッセイ賞:世界の朝ごはん 66カ国の伝統メニュー/監修:WORLD BREAKFAST ALLDAY,編著:パイ インターナショナル/パイ インターナショナル ■コミック賞:パンが焦げてもふたりなら/たな/オレンジページ ■お菓子部門 大賞:常識やぶりのアイデアおやつ/syun cooking/大和書房 ■お菓子部門 準大賞:体にいいおやつ/ねぎちゃん/Gakken ■お菓子部門 準大賞:ふつうの材料だけで作る お店みたいなスイーツレシピ/megu’cafe/KADOKAWA ■ニュースなレシピ賞:料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか?/リュウジ/河出書房新社 ■ニュースなレシピ賞:常識やぶりのアイデアおやつ/syun cooking/大和書房 ■プロの選んだレシピ賞:手軽 あっさり 毎日食べたい あたらしい家中華/酒徒/マガジンハウス
篠原諄也