大西卓哉宇宙飛行士、月面探査スペシャリストとしての期待
「報道部畑中デスクの独り言」(第347回) ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、宇宙長期滞在が決まった大西卓哉宇宙飛行士について― 【写真全3枚】記者会見する大西卓哉宇宙飛行士
小生のいまの仕事は、科学技術、防災、経済、政治の担当記者として現場を走り回る一方、ニュースデスクとして現場から本社に上がってくる情報をまとめ、放送に反映させる業務を行っています。 本社では原稿の執筆・構成、現場からの音声の編集をし、スタジオに入り、自分の言葉でニュースを伝えます。現場では取材に加えて音声収録・編集・送信も行います。 その他、以前は2年半ほど番組のディレクターを務めたこともあります。いわば「一人何役」もこなしているわけですが、規模の小さいラジオ局のフットワークと言えるかも知れません。僭越ながらこれらの経験で、放送に臨むにあたり、複眼的な見方が養われたと思います。 宇宙飛行士もそんな思いを持つのでしょうか。JAXA宇宙飛行士の大西卓哉さんが再来年(2025年)ごろ、宇宙に長期滞在することがこのほど発表されました。 「私たち宇宙飛行士にとって、宇宙というのはいちばんの現場。そこに戻れることを大変うれしく思っている」 日本時間11月15日、アメリカ・ヒューストンとオンラインで結んだ記者会見で、大西さんは率直な心境を語りました。大西さんは2009年に宇宙飛行士候補者として選抜され、7年の訓練を経て2016年に初の宇宙長期滞在に臨みました。そのときに感じたことがフライトディレクターの重要さだと言います。 「宇宙飛行士という仕事とフライトディレクターという仕事が、車の両輪というか、息を合わせて回ることで、初めて国際宇宙ステーションという車が前にまっすぐ進めることを感じた」 長期滞在から帰還後、大西さんはフライトディレクターとして数年間過ごしました。宇宙飛行士から見える景色とは違います。経験で大西さんが得た“財産”は何だったのか……。 「地上の動きがしっかりわかっていること。宇宙飛行士が国際宇宙ステーションで担当している作業は、運用全体から見るとほんのひと握りの作業で、その裏でどれだけの作業が地上で計画され、行われているかを肌で感じている」 まさに、ラジオでいうところのパーソナリティとディレクターの関係のようです。