「“かけ子”“受け子”“換金役”などで男性より警戒されにくい」…闇バイトへの世間の警戒心が高まる中で犯行グループが“本当に欲しい人材”
警察庁の発表によれば、今年発生した特殊詐欺の被害総額は9月末時点で411億円にのぼり、前年同時期に比べ100億円上回った。連日「闇バイト」が世間を騒がせるなか、実行役を募る犯行グループの“求人手口”に、新たな動きが出始めている。【前後編の前編】 【表】こんな文言には気をつけろ!闇バイトの「怪しいうたい文句」5選
小学生の息子を持つ主婦が事件に巻き込まれ、強盗犯が奪った3000万円を予期せず手にする。警察に届けようとするも、大金に目がくらんで容疑者と共謀。犯罪に加担してしまい、あっという間に後戻りできない状況に陥って──。 現在放送中の安達祐実(43才)主演ドラマ『3000万』(NHK)は、安達演じる主婦が夫とともに犯罪に手を染める様を描いたクライムサスペンスだ。 だが「主婦と犯罪」の結びつきは、ドラマの中だけの話ではない。11月2日、神奈川県横浜市で起きた強盗殺人事件に関与したとして、30才の女性が逮捕された。容疑者は夫と幼い子供2人の4人暮らしで、周囲の目には、子供たちを毎日保育園に送り迎えする“普通のお母さん”に映っていたという。 「事件が起きたのは10月15日。住宅に侵入した実行役がその家に住む70代男性を殺害して現金約20万円を奪い、都内の公園にある公衆トイレに運んだ。容疑者はそのお金を回収し、別の人間に受け渡す役割を担ったとみられています」(全国紙社会部記者) 逮捕後、容疑者は「夫から何度もお願いされて引き受けた」と供述。その夫は別の特殊詐欺に関与したとして、10月19日にすでに逮捕されていた。 夫婦が手を染めたのは、現在問題視されている「闇バイト」だ。主犯格の指示に従い、実行役として特殊詐欺や強盗を行う。事前に名前や住所、家族構成などの個人情報を握られるため、「もうやめたい」と伝えても「家族に危害を加える」などと脅され抜け出せず、深い闇へと堕ちていくのだ。
闇バイト集団が主婦を欲する理由
多発する強盗事件の実行役として、比較的若い男性が検挙されるケースが目立つが、闇バイト集団はむしろ主婦を欲しているという。 闇バイトの実態に詳しい、犯罪ジャーナリストの石原行雄さんが解説する。 「実行役の仕事には力任せに強盗に入るものもあれば、電話をかけてターゲットをだます“かけ子”、現金を受け取る“受け子”、盗品を中古品買取店で現金化する“換金役”などもある。 ここ最近は連日のように闇バイト関連のニュースが報じられ、世間の警戒心が高まっています。そこで重宝されるのが、男性よりも警戒されにくい女性なんです。なかでも、主婦や年配のかたは見た目や話し方が落ち着いている人も多く、使い勝手がいいと考える連中も多くいます」 犯行グループの内部では、「普通の主婦」を仲間に引き込もうとする動きが一気に加速し、いたるところに巧妙な“入り口”がしかけられているという。後編記事で詳報する。 (後編につづく) ※女性セブン2024年11月28日号