ほめたら営業妨害?“嫌われ芸人”エハラマサヒロから見えた人柄
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 嫌われる理由って? 11月末をもって吉本興業とのマネジメント契約を終了し、フリーとなったお笑い芸人のエハラマサヒロ(42)を先日、取材した。 エハラは「芸人から嫌われる芸人」ランキングで上位。自身のSNSでも「何やっても鼻につく男」と自己紹介している。フリーとなって初の地元・関西での公の場。吉本を離れたいきさつはぜひ聞いてみたいところだが、一方で、うたい文句通りだと面倒くさいタイプかもしれない。 そんなことを思案しながら、エハラと20年来の付き合いがある友人が大阪・枚方市にオープンしたエンタメ居酒屋のオープニングイベントへと向かった。 囲み取材に登場したエハラは、フリーになった話をあれこれ振られても嫌な顔ひとつせずに対応。“金にうるさい”がネタ化している吉本を離れただけに、ギャラの話をぶち込まれても「爆増えです」。報道陣との会話は弾んだ。 似たような感覚を味わったことがある。エハラが最も尊敬する芸人として名前を挙げるキングコング西野亮廣だ。同じく“嫌われる”系の芸人として名前が挙がる西野が、吉本を「辞める」「辞めない」でモメていた時に直撃したところ、受け答えは実にしっかりしているし、ウイットにも富んでいた。一緒にぶら下がった記者と妙に会話が弾んでいたのを覚えている。 エハラ取材の帰り道、エハラをめぐって関係者とかわした言葉を思い出した。「ええとこ出てるしね。頭がいいんやろな。何もかも分かってる。他の芸人が苦労するような難しいことでも簡単にこなしてしまうから嫌われるんちゃうか」との見立てをする者もいた。 エハラは大阪教育大学付属高等学校天王寺校舎の出身。ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏や、東日本大震災時に東京電力福島第1原発所長を務めていた吉田昌郎さんらを輩出し、俳優の辰巳琢郎やお笑いコンビ「ロザン」も卒業生に名前を連ねる。 大阪でも、トップクラスの“かしこ”の学校として知られる。 R-1グランプリで2回準優勝しているだけでなく、ミュージカル俳優としても活躍。多才で何事もシレッとこなしてしまうのは、確かにイヤミに映るかも? などと考えているうちに、このイベントが記事化されると、エハラは「実は爆増とか言ったけど記事の見出し作りやすくする為なのよね 友人のお店PR」とSNSで真相をぶっちゃけ。なるほど、全部狙い通り、そういうところか、と妙にふに落ちたが、取材はする側もされる側もお互いさま。利用できるならしてもらったらいい。 お笑いコンビ「霜降り明星」の粗品も認めるように、エハラの才能は間違いないのだろう。フリーになって大ブレークした、なかやまきんに君のようにさらなる活躍をする可能性もある。“嫌われる”をネタにしているだけに、あんまりホメると、「営業妨害や!」って怒られるかもしれないが、今後、エハラがどんな立ち振る舞いで芸能界を泳いでいくのか注目したいと感じた。【阪口孝志】