日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』をレビュー!
日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。伝説の名作『グラディエーター』、24年越しの続編! * * * 『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』 評点:★3.5点(5点満点) 主人公以外、何もかもが前作より派手! 古代ローマを舞台に、奸計にはまって家族を惨殺され、自身は剣闘士に身を落としたかつての将軍による、腹黒い皇帝への復讐の道のりを描いた2000年の前作『グラディエーター』は、古代世界をありありと蘇らせた驚愕のビジュアルとラッセル・クロウ演じる主人公マキシマスのカリスマ的な魅力が相まって今なおカルト的な人気を誇る。 その24年後にリドリー・スコット監督が再びメガホンを取った本作はとにかく何もかもが前作より派手、という意味で極めて伝統的な「パート2」映画だといえる。 戦闘シーンは格段に残酷さを増し、闘技場の演し物はどれもバカバカしいほど派手、憎らしい皇帝は今回はアホの兄弟(ゲタ帝とカラカラ帝)に倍増、さらに元老院に取り入ろうとする元・剣闘士の大商人が暗躍と、「より多く、より凄く、より派手に」というポリシーが徹底されているため、「大作を観たなあ」という意味での満足感は高い。 一方、主役のポール・メスカルは健闘しているものの、どうしてもラッセル・クロウほどのカリスマを獲得するには至らず、さらにデンゼル・ワシントンやペドロ・パスカルといった脇役陣が皆強烈な印象を残すため、主人公だけが薄く感じられてしまう。 STORY:ローマ帝国が栄華を誇った時代。平穏な暮らしを送っていた男は、ローマ帝国軍の侵攻により愛する妻を殺され、捕虜として拘束されてしまう。帝国への復讐を胸に誓った男は、ローマで剣闘士(グラディエーター)となる 監督:リドリー・スコット脚本:デヴィッド・スカルパ出演:ポール・メスカル、デンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカルほか上映時間:148分 全国公開中