ロシア軍が3tの巨大滑空爆弾を初使用 効率は悪いが心理的な威圧効果大
ロシア空軍が重量3tの滑空爆弾を初めて実戦で使用した。先週2発投下された巨大な新作爆弾は、その威力の大きさをまざまざと示してみせた。同時に、予想されていた非効率ぶりもあらわになっている。 20日かその少し前、ロシア空軍のSu-34戦闘爆撃機から、展開式の翼と衛星誘導装置を付けたFAB-3000航空爆弾1発が、ウクライナ北東部ハルキウ市の北15kmほどに位置するリプチ村の建物に投下された。ロシア側によれば、この複数階の建物はウクライナ軍部隊の一時的な拠点として使われていたとされる。 その次の日にも、再びSu-34からFAB-3000型滑空爆弾1発が、同じくリプチで大きな建物に投下された。この建物もロシア側がウクライナ軍部隊の潜伏場所とにらんだ場所だったようだ。 これらの爆弾がどれくらいの距離飛んだのかはよくわからない。ロシア軍がこれまで用いてきたより小型の滑空爆弾の射程は通常、40kmかそこらだ。3tもある爆弾の空力性能はあまり高くないだろうから、従来のものより射程は短いかもしれない。 2発はいずれも目標からわずかにそれた地点に着弾したが、それはあまり問題にならなかった。ロシアの人気テレグラム・チャンネル「Fighterbomber」の説明によれば、FAB-3000は爆風によって半径230mの範囲に損害を与え、殺傷力のある破片を1240m先までまき散らすという。 目標地点から10m程度ずれても、Su-34によるFAB-3000型滑空爆を用いた爆撃としては「素晴らしい結果」(Fighterbomber)ということになる。 Fighterbomberはその一方で、より小型のFAB-1500(重量1.5t)型の滑空爆弾をSu-34に搭載させたほうが、さらに大きな損害を与えられただろうと推測している。 Su-34は、FAB-3000型滑空爆弾は1発しか搭載できないが、FAB-1500型滑空爆弾なら3発搭載できる。後者の兵装は一見、前者より見劣りするかもしれないが、実はこちらのほうがはるかに効果的だ。