ビヨンセのカントリー音楽への批判に母ティナが反応「カウボーイ文化は白人のものだけではない」
2月11日（日）に行われたスーパーボウルのCMで新曲のリリースを予告したビヨンセ。その直後に「Texas Hold 'Em」「16 Carriages」という2曲を発表した。どちらも彼女にとっては新境地となるカントリーだった。 【写真】おしゃれ歌姫ビヨンセの誕生～最新ファッションまでの変遷ストーリー
この楽曲を巡る反応が物議を醸している。たとえばカントリーミュージック専門のラジオ局KYKCの事件。この局はビヨンセの新曲をリクエストしたファンにお断りのメールを送付、「私たちはカントリーミュージックの局なのでビヨンセは流さない」と拒絶した。ファンがSNSにこのメールを投稿したところ「カントリーミュージックは白人のものなのか」「人種差別だ」と批判するコメントが殺到。結局、KYKCはビヨンセの新曲を放送した。
KYKCは姿勢を改めたが、この局のように「カントリーは白人のもの」と考えているカントリーファンは少なくない。実際、人気カントリーシンガーは白人に占められ、主なリスナーも保守層の白人。アフリカ系でしかもリベラルなビヨンセがカントリーを歌うことを疑問視する人、批判する人もいる。最近の彼女は新作に合わせてカウボーイハットをかぶって公の場所に登場しているが、それに違和感を感じるという意見も多い。
これに対してビヨンセの母ティナ・ノウルズが反論した。ティナはこれまで彼女がカウボーイハットを始めとするカウボーイ文化を取り入れてきたシーンをまとめた動画をインスタグラムにアップ。「フィードにこの動画を見つけた。テキサスで育った私たちは常にカウボーイ文化を祝福してきた。それにこの文化が白人だけのものではないことも理解している。テキサスには黒人による巨大なカウボーイ文化がある。私の子どもたちが最初からそれをファッションやアートに取り入れてきたのはなぜだと思う？」と問いかけた。
「人からなぜビヨンセはカウボーイハットをかぶっているのかと聞かれたとき、本当におかしくて笑ってしまった。なぜなら子どものころから毎年ロデオに行って、家族みんながウェスタンファッションに身を包んでいたから。ソランジュは黒人によるカウボーイ文化を題材にした素晴らしいアルバムとプロジェクトを発表している。これは間違いなく私たちが育ってきた文化の一部だ」。
アフリカ系メディアの「ブラック・ウォールストリート・タイムズ」も冒頭のラジオ局の事件を報じつつ、カントリーが白人だけのものではないと指摘。「たとえばカントリーに使われるバンジョーもアフリカ系アメリカ人が生み出した楽器だ」とし「ロックを含む他の人気の音楽ジャンルと同じように、カントリーミュージックにおける黒人の歴史もふさわしい注目を得ていない」と書いている。3月29日にリリースされるビヨンセのニューアルバムもカントリーがテーマだといわれている。彼女の新作がカントリー音楽を巡る状況をどう変えるのか、注目が集まっている。
