芸能人の給料格差 ── その根底にあるものとは!?
ギャラの半分をもらえれば良心的!?
となると、気になるのは歩合制の中身となるわけだが…。 「各芸能事務所によって歩合制の比率は異なり、タレントの取り分と会社側の取り分が半々くらいならかなり良心的な方じゃないでしょうか。3対7や2対8なんてケースもざらです。『そんなに会社側に持っていかれるのか!』と思われるかもしれませんが、タレントを売り出すためには初期投資がかなりかかるし、デビューしたての頃はほとんどが会社側の持ち出しです。しかもシビアな話、大半が売れずに消えていきます。そのぶんを一部のタレントが売れてから回収することになるわけですからね。そうした背景もあり、ブレークしてすぐに所属事務所を移籍するようなタレントは、業界全体からも冷ややかな目で見られるというわけです」(前出のマネジャー)
給料だけじゃない!? 大手事務所に所属するメリットとは?
こうした中、よく吉本興業所属のお笑い芸人がバラエティー番組で「ウチは給料が安い」や「若手の頃は給料よりも交通費の方が多かった」などとボヤいたり、ネタにする場面をよく目にする。「確かに吉本さんはタレントのギャラの取り分が少ないことで有名です(笑)」(同マネジャー)という意見がある一方、バラエティー番組を手掛ける放送作家は給料面以外のメリットの大きさを強調する。 「吉本さんにはテレビの冠番組を持つ売れっ子芸人がたくさんいるので、実力があれば先輩芸人との繋がりで番組出演の機会も巡ってきますし、マスコミやクライアントにタレントを売り込む営業力もあり、露出や売れるチャンスがあるという意味では、タレントにとって大きなメリットがあると思います。常設劇場や自社主催のイベントなどもあり、“仕事日照り”に陥りにくいという点も魅力でしょう。もちろん、そのぶん所属事務所内の競争も激しいですが、いくら人気があっても仕事がなければ何の意味もないですからね。今の御時世、人気タレントといえども、黙っていても仕事が入って来るという時代ではないし、仮に一時的にそうなったとしても、“賞味期限”は短く旬なんてあっという間に過ぎてしまいますから。それに、事務所への貢献度の高い一部の大御所クラスになると、歩合の比率も通常とは異なり言われているほど悪くないという話ですしね」 何だかんだと言いながらも吉本芸人に独立するケースが少ないのは、所属タレントがこうした給料面以外の部分に大きなメリットを感じている表れだろう。
一時の高給を取るか、はたまた安定性をとるか
芸能評論家の三杉武氏は語る。 「昔は所属事務所の待遇に不満を抱いて独立したり、個人事務所を設立したりするタレントもかなりいましたが、そうした先人たちが思ったほど上手くいっていなかったり、テレビ不況の影響などもあり、最近は“独立騒動”も以前に比べるとだいぶ少なくなっています。個人事務所を立ち上げながらも、結果的には業務提携という形で実質的には大手事務所にマネージメントを任せているケースも多いです」 一時の高給を取るか、はたまた安定性をとるか、芸能人にとっても悩みどころではあるが、一昔前に比べると安定志向の芸能人が増えているといったところか。 (文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)