昌平、西武台に5-1完勝で2大会ぶりV
令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選最終日は6月16日、NACK5スタジアムで決勝が行われ、昌平が西武台に5-1で快勝し、2大会ぶり5度目の優勝を果たした。インターハイ(7月27日~8月3日・福島県)出場も5度目となる。 【フォトギャラリー】昌平 vs 西武台 目下高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 EASTで暫定3位と好調な昌平は、同リーグ得点ランキング首位タイのMF長瑠喜(2年)がけがで離脱。代わって左ウイングにはFW岩谷勇仁(3年)が入った。 立ち上がりの昌平は、「硬さをほぐしたつもりだったが、取れていなかった。5分から10分くらいは相手の勢いに飲まれた」と玉田圭司監督が指摘したように、危機一髪の場面が2度あった。 まず2分。FW鈴木洸晴(3年)が左サイドからスピードに乗ったドリブルで進出し、ゴール前に最高級のクロスを上げた。FW緑川梗雅(3年)がフリーで打ったボールは枠を捕らえられず、バーの上を越えていった。 次は13分。また鈴木が左からリズミカルに攻め込み、中央に入って強烈なシュートを放った。しかしGK佐々木智太郎(3年)がセーブした後、ゴールを割りそうになったが、左SB上原悠都(3年)が間一髪の場面で蹴り出して事なきを得た。 佐々木は「サイドから攻められ、ほぼ1対1の状態になって難しい面もありましたが、ニアに蹴ってくることを予想したので止められた。自分は前回の全国選手権も経験しているので、それほど過度な緊張はありませんでした」と守護神は胸を張った。 失点のピンチを2度くぐり抜けた昌平は21分に左CKを得ると、CB中松陽太(3年)の蹴ったボールをFW鄭志鍚(3年)がヘッドで流し込んで先制。さらに鄭は29分、右SB安藤愛斗(2年)の右クロスからヘディングシュートを決めた。 西武文理との初戦の3回戦で2ゴールを挙げ、細田学園との準々決勝でも1得点。これで通算5点を奪い、エースらしい働きぶりでチームを頂点に導いた。鄭は「準決勝の無得点が腑に落ちなかったので、今日は自分のゴールで勝たせようと思いました。2点ともいいボールを上げてくれたおかげ。80分間、ゴールへのどん欲な気持ちを持って戦いました」と笑顔を見せた。 39分には、「筋トレの成果で当たり負けしなくなった」と言うFW山口豪太(2年)が、厳しい重圧を掛けて相手ボールを奪取。パスを受けたMF三浦悠代(3年)が、角度のない右から逆サイドに突き刺した。三浦は初戦から4試合連続ゴールを記録した。 3-0で前半を折り返し、後半を迎えても昌平の攻勢は続いた。というよりさらに加速した。 点を取らねばならぬ西武台は、それまでマンマークしていた大谷湊斗(3年)への囲い込みの手を少々緩めたからだ。 昌平の心臓部である主将でアンカーの大谷が、敵陣へとドリブルを使って顔を出す回数、ボールを受ける頻度がぐっと上がった。こうなると昌平の攻めの質と強度も上がり、西武台はますます守備に追われることになった。 後半3分、中央やや左から相手陣営深くに攻め上がった大谷は、マーカーの股間を抜く左足シュートを決める。39分にも攻撃参加すると、中央の鄭とパス交換。防御にきたGKを鋭いステップでかわして豪快な一打を突き刺した。 攻め手のなかった西武台はアディショナルタイム、FW竹内奏海(3年)が左からスピード豊かに突進。ペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得すると、竹内が自ら左隅に沈めて意地の1点を返した。 1-5というスコア以上の完敗を喫したが、守屋保監督は「決勝まで進めたのは選手が一生懸命やってくれた結果です。足りないもの? もう少し自信を持って状況判断などをできるようにしてもらいたい」と秋の選手権予選、再開するプリンスリーグに向けての課題を示した。 3月の就任後、初タイトルを獲得した玉田監督は「序盤は硬さが取れなかったが、キーパーが助けてくれたことでチームの士気が上がった」と振り返った。インターハイについて尋ねられると、「優勝を狙いたいが、その前にプレミアリーグもあるし、チームとしてやるべきことをもっと詰めないといけない」と勝ってもなお、手綱を締めていた。 (文・写真=河野正)