自炊と外食では「ココロ」も「サイフ」も違ってくる【科学が証明!ストレス解消法】
【科学が証明!ストレス解消法】#196 コロナ禍を機に自炊をする人が増えたという調査があります。 拒食症で体重23キロに…料理研究家Mizukiさん「死ぬんだと思いました」 実際、家にいることが多かったため、料理が趣味になったという人は少なくないのではないでしょうか。 食事は、基本的には主食・主菜・副菜のバランスが取れた献立が好ましく、厚生労働省の調査を 見ても、外食や持ち帰りが多い人ほど先のバランスが取れていないということが明らかになっています。 台湾とオーストラリアの研究チームが合同で、台湾に住む65歳以上の男女1888人を対象に10年にわたって自炊の調査をしたところ、週5回自宅で料理をする人は、しない人よりも10年後の生存率が47%も高かったという結果も出ているほどです。 さらには、ミネソタ大学の研究(2015年)では、自炊する人と比べて、外食をする人は1日当たり200~300キロカロリーほど多く摂取していると報告されています。 外食は手軽でおいしく食事を済ませられる半面、高カロリー・高脂肪の料理が少なくないため、頻繁な外食は体重増加や肥満のリスクを高める可能性があるというわけです。 健康に配慮した食事を提供する飲食店が増えてこそいますが、仮に自炊より健康的な食事ができるとしても、外食をしたり、出来合いのお総菜やお弁当で食事を済ませると、どうしても自炊よりお金はかかってしまいます。 特に、自炊に対して面倒くささを感じる男性は一定数いるでしょうから、出費がかさむと感じている方は多いはずです。実際、総務省統計局が行っている全国消費実態調査では、食費に関する支出の割合は男性の方が高いというデータも明らかになっています。 経済的な観点から見ても自炊をすることが望ましいうえ、自炊(料理を作る)には思わぬメリットもあります。東北大学の田代らは、2011年10月以降、味の素グループが東日本大震災の被害を受けた東北の各県で開催した「ふれあいの赤いエプロンプロジェクト」の効果について調査しているのですが、とても興味深い結果が示唆されています。 被災して仮設住宅に入居した人たちは、キッチンが狭くなり、料理が思うようにできないことから栄養が偏っていたそうです。また、ご近所付き合いが根本的になくなったことで孤立やひきこもりが生じたりと、さまざまな健康リスクが生じたともいいます。 そこで同プロジェクトでは、仮設住宅の集会場などで料理教室を開催するなど多種多様な活動を行いました。 その結果、料理教室に通った人たちは、料理を作ることに対するモチベーションが上がるだけでなく、栄養バランスが改善し、社交的になるという効果も見られたといいます。 大事なことは自己肯定感を抱けるかどうかということです。幸せを感じられるのであれば、出費はかさみますが外食も大いに気持ちを豊かにしてくれます。一方で、自炊は自分を豊かにしてくれる行為でもある。ご飯を食べて味気ないと感じたときは、一手間加えて自分を豊かにしてあげてください。 (堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)