「レンコン産地」地域・行政と盛り上げ 徳島・JA大津松茂
徳島県のJA大津松茂は、全国第3位の出荷量を誇るレンコンで、県内一の出荷量を誇る。近年は、少子高齢化による後継者不足や生産方法の変化などによる収穫量の大幅減が深刻だ。合併後のピーク時である2016年には、2591トンだったが、現在は1800トンと約3割減。これを打開するため、JAは「地域や行政など、どんどん周りを巻き込んで産地を盛り上げよう」と奮闘する。 JAは徳島県の北東部、日本三大暴れ川の一つである一級河川・吉野川の下流域の鳴門市と松茂町を管内に持つ。レンコンは、全国的にもまれな粘土質の土壌で丁寧に栽培され、色が白くすらりと長い。新鮮なものはあくがほとんどなく、皮むきなどの下処理不要で食べられるのが特徴。主に京阪神市場に出荷され、京都の料亭などで重宝される。 品質の高いレンコンを育む粘土質土壌は一方で、重労働となって生産者に返ってくる。土壌が硬いため、水圧で掘り取るのではなく、一本一本丁寧にくわで手作業で収穫しなければならない。高齢化が進む産地には大きな負担となっている。 JAでは農家支援として、栽培に関する勉強会を開く他、農業用ドローンを用いた省力化試験をはじめとした肥料や栽培方法の試験に力を入れる。
生産者婦人会「べっぴん会」も活躍
生産者も動いており、JA大津支所のレンコン生産者婦人会「べっぴん会」も積極的に活動を展開。昨年、後藤田正純知事が就任した際には、知事へ県産レンコンの美しさやおいしさをアピール。同時に生産量が年々減少している現状も訴え、「実際に産地を見てほしい」と招待した。 後日、知事や農業関係部署の職員らによるレンコンの収穫体験が実現した。収穫体験は県によって交流サイト(SNS)などで紹介され、広く周知することにつながった。 食農教育にも取り組み、レンコンの植え付け時期である初夏と収穫期の冬の2回、幼稚園児が圃場(ほじょう)を訪れ、泥んこ遊びをしながら「代かき」と呼ばれる作業や収穫などを体験している。「みんなの食卓を守っていく」ことや自然環境の尊さ、大変さを目で見て自ら体験して知ってもらうことにつなげている。 JAの佐々木伸夫組合長は「日本有数のレンコン産地として誇りを胸に、産地の維持・発展に貢献できるよう、地域と共に進んでいきたい」と展望する。
日本農業新聞