良品計画が過去最高業績更新 国内事業好調、スキンケア用品が売り上げけん引
「無印良品」を展開する良品計画が、2024年8月期の通期実績(2023年9月~2024年8月)で全利益段階において過去最高業績を達成した。営業収益は前期比13.8%となる6616億円で、営業利益は同69.4%増となる561億円。国内外の出店に伴い店舗数が増加したほか、国内事業が好調に推移したことなどが寄与し、営業利益は7月に公表した計画を上回った。
セグメント別に見ても、全ての地域で増収増益を記録。国内では実店舗が好調で、既存店売上高が前年比6.8%増と伸長した。夏物衣服の販売に苦戦し、衣類カテゴリーはほぼ前年から横ばいだったものの、生活雑貨が売り上げをけん引。中でもスキンケア用品が売れた。 中国大陸では、消費マインドの低下から客足が鈍化し売り上げが伸び悩んだものの、新規出店に伴う店舗網の拡大や経費コントロールの徹底によって利益を確保した。今後は収益性の低い店舗を閉鎖してよりチャンスがある立地に出店するスクラップアンドビルドを進めながら、店長クラスの人材育成にも注力していくとしている。 コロナ禍の影響で不振に陥っていた欧米事業では、不採算店舗の閉鎖を推進。コスト構造の見直しや財務基盤の強化に努めたほか、円安も寄与し売り上げ収益、営業利益において前年を超えた。 2023年8月期以降、国内での出店を加速し年間100店舗の純増を目指すとしていた良品計画だが、2024年8月期の純増は61店舗。出店を加速させた中で得た経験をもとに、内容を精査しながら出店数を調整しており、2025年8月期以降も60~70店舗の純増ペースを維持する考えだ。新規出店店舗の坪効率が低いといった課題はあるものの、家賃も安いため、収益性に問題はないという。同社の堂前宣夫現代表取締役社長は「新規出店店舗は売り場面積が広いところが多いので、キャパシティには余裕がある。今後商品力を強化して坪効率を上げれば、売り上げを更に拡大できる余地がある」と話す。 価格設定については、一律で変更することはせず、商品によって適切に変えていく方針。堂前現社長は「今は『安ければ買う』という時代ではない。質に対して適切な価格をつけることが何よりも大事だと考えているので、しっかりと精査していきたい」と慎重な姿勢を示した。