集めた小皿と凧・千点以上圧巻の展示 大阪の収集家夫婦
集めた小皿と凧・千点以上圧巻の展示 大阪の夫婦収集家 撮影:岡村雅之 THEPAGE大阪
収集家が丹精したコレクションの世界で遊ぶ──。「コレクションの愉しみ 印判手の皿とアジアの凧」展が7日、大阪歴史博物館(大阪市中央区)で開幕した。展示作品は収集家から寄付を受ける予定の作品で、図柄の異なる小皿約千点と、内外の凧270点が並ぶ展示風景は圧巻。小皿の藍色、凧の原色のコントラストも鮮やか。民衆が暮らしの中で磨き上げてきた生活文化の素晴らしさが、改めて伝わってくる。会期は来年2月13日まで。 8世紀の大阪は副都だった? 後期難波宮の役所跡が出土
量産品にも息づく職人たちの心意気
印判手は銅板転写などの印刷技術を駆使して絵付けをした陶磁器を指す。明治期以降、生活食器として量産され、安価な割に藍色の落ち着いた色合いが魅力的なため、熱心なコレクターが少なくない。大阪市内在住の湯浅哲夫さん、けい子さん夫妻が約30年にわたって千点に達するコレクションを築き、大阪市に寄付することが内定している。 展覧会では実在する花や動植物、想像上の神獣、縁起のいい吉祥文など、図柄別に展示。印判手研究は途上にあり、湯浅夫妻コレクションを図柄別に分類する調査を通じて、印判手が量産品ながら、想像以上に多彩な図柄が描かれていた事実が明らかになってきた。 鳥部門では、愛らしい千鳥をモチーフとする「波千鳥図皿」が多数見つかった。担当学芸員の中野朋子さんは、千鳥を「浜辺のアイドル」と命名。「千鳥の千の文字がおめでたいとされたからではないか」と読み解く。松竹梅の定番図柄の他にも、タケノコを大胆にデフォルメしたモダンな「筍図皿」など、意表を突く変化球もあり、見飽きない。 湯浅夫妻は大阪・四天王寺や京都・東寺の骨董市に通い詰め、気に入ったものだけをこつこつと集めてきた。小皿1枚の値段は数百円程度で、使っても集めても楽しい。 哲夫さんは「安価な量産品なのに、新しい図柄に挑戦し続けた職人たちの心意気に感服する」と話す。けい子さんは「印刷がわずかにずれている作品も面白い」と、大らかに印刷のずれさえ味わう。 会場内に湯浅家の立体的な展示方法を再現。湯浅夫妻はコレクションの皿を重ねて保管しない。哲夫さんが作った棚に夫妻で皿を飾り、日々鑑賞して楽しんできた。