フクロウ「かわいい」けど… 野生動物〝ペット化〟のリスク 「フクロウカフェ大国」の日本
一見「かわいい」と感じるけれど
そのフクロウの外見から、思わず「かわいい」「飼ってみたい」と感じるかもしれませんが、1日およそ10回と頻繁にフンをすること、エサとしてネズミを与えなければならないこと、専門的に診察できる獣医師が少ないことなどから、ペットには不向きの野生動物です。 また、フクロウは耳がよく、20メートル先のネズミの鳴き声や動きを察知できるといいます。ドライヤーや掃除機、テレビの音など、人間の生活音がストレスになってしまう恐れもあるそうです。 そこで、WWFジャパンと協力する動物園はSNSでフクロウの「ウラのカオ」を紹介しています。 北海道帯広市にある「おびひろ動物園」は、「繁殖期のシロフクロウは気性が荒く、威嚇したり、鋭い爪で攻撃したりしてきます。動物園では扉の陰でガードしながら、飼育員の安全を確保しつつ気をつけて給餌や残飯回収を行っています」と投稿しています。 京都市動物園はアナホリフクロウの動画とともに、「健康管理の一環で、嘴(くちばし)を削ることもあります」「飼育や診療には専門的な技術も必要です」と呼びかけます。
密輸の増加、絶滅危機の加速リスクも
WWFジャパンの野生生物取引監視部門TRAFFICは、フクロウの輸入状況や国内のペットショップ・アニマルカフェの調査を専門家とともに実施。 日本は、これまでに60種2万3738羽の生きたフクロウを輸入した主要な輸入国だと分かったそうです。そのうち半数以上は野生で捕獲された個体でした。 WWFジャパンの担当者は、「近年でも、野生動物の違法取引は起きており、『飼育下繁殖』で販売されていたものが、よく調べたら『野生捕獲』だったということもあります。こうした野生動物の〝ペット化〟は、密輸の増加や絶滅の危機を加速させるリスクもあり、歯止めをかけたい」と訴えます。 WWFジャパンでは、「(一般的に)飼いにくい野生動物は、適切な飼育環境を整えられる施設だけが認められるべきだ」と動物愛護法の改正を働きかけています。 国際的には野生動物を保護しようという動きは強まっており、韓国では2022年の法改正で、アニマルカフェでの野生動物の展示禁止、動物園・水族館の許可制への変更などを決めています。 「野生のフクロウは、日中は森の奥で静かに過ごし、夜には広大な自然を飛び回ってネズミやリスなどの小動物を狩って生きています。そうした野生動物の本来の姿に想いをめぐらせていただけたらと思います」と話しています。