ENEOSホールディングスおよび同社完全子会社のJX金属は8日、同日付でJX金属が東京証券取引所に新規上場申請を行ったと発表した。上場時の時価総額は数千億円規模になるとみられる。同上場によってENEOSHDはエネルギートランジションの実現に向けた事業ポートフォリオ転換に必要となる投資や株主還元を機敏かつ確実に実行することが可能となる。JX金属は専門性が高く、迅速な意思決定を可能とする経営体制の確立および事業特性に応じた最適な資本構成を実現し、競争力の高い半導体材料・情報通信材料など先端素材分野における設備投資や研究開発などを加速させる。 　両社は、2023年5月にJX金属の株式上場準備を開始すると発表し、上場申請に向けた準備を進めていた。前期末時点のENEOSHD金属事業のセグメント資産は1兆3615億円、セグメント負債は6022億円で、純資産は7千億円強となる。一般的に同社規模の新規株式上場では、上場承認まで数カ月程度、承認後の上場に1カ月程度を要するケースが多い。上場時点でのENEOSHDの売却比率は公表されていないが、昨年の段階では将来的に持分法適用関連会社への移行を目指して検討を進めるとしていた。 　JX金属は、40年をターゲットとする長期ビジョンで、「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」に転身し、半導体材料・情報通信材料といった先端素材のグローバルリーダーを目指すという基本方針を掲げている。先端素材分野では半導体用スパッタリングターゲットをはじめ世界トップシェアの製品を多数有し、高い競争力を持つ。同社は、成長戦略のコアと位置付ける同分野での設備投資や研究開発などを加速し、先端素材における技術の差別化・市場創出を通じて市場成長以上の利益成長を目指していく考え。