PK失敗も相手にペース渡さず 大和が辛くも1‐0で勝って予選ブロック決勝に進出
第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選の1次予選3回戦2日目が7月15日、県内の各会場で開催され、第7シードの大和と東(以下・東)が対戦した。試合は0-0で迎えた後半32分、守備陣のズレを突いた大和FW10中原一樹(3年)が流し込んで、先制点。これが決勝点となり、大和が予選ブロック決勝に進出した。 【フォトギャラリー】大和 vs 東 「最後の決めるところで決まらず、苦しい試合になりました」と大和・宮澤仁監督は「苦しい試合になるのはわかっていました。(東が)こちらの特長を抑えたため、なかなかリズムが作れませんでした。それでも準備してきたものが出せたのでボールを動かせ、リズムが作れるようになりましたが、攻撃のところでなかなか決まりませんでした」と総括した。 試合を通じて、7:3の割合でボールを保持した大和。前線の3人がプレスをかけ、サイドから、あるいは中央から間断なく仕掛け、東を押し込み続けた。自陣に下がらざるを得ない東だが、身体を張った守備で耐えながら、FW9石脇嵩弘(3年)を中心に素早いカウンターで勝機を見出そうとしていた。しかし、どちらも決定機はなく、前半の35分間が過ぎた。 動きがあったのは後半16分。大和がペナルティエリア内でファールを受け、PKのチャンスを得た。キッカーを託されたFW10中原が打ったが、これは枠外。しかしPKはやり直しに。キッカーはFW10中原に替わってFW7鈴木大雅(3年)となったが、今度はポストに当たって失敗。その跳ね返りを味方が詰めたが、東GK1谷口銀(3年)が見事に阻止した。やや意気消沈気味の大和に対し、俄然盛り上がる東。飲水タイムを挟んだ残り約15分。双方攻めあうなかで、ペースを渡さなかった大和が勝ちきった。 決勝点をあげたFW10中原。3分から4分ほど話しを聞いたが、勝利へ道筋をしっかり描いていたようだ。 まずはハーフタイム。前半、FW10中原は4‐3‐3の右ウィングにいたが、相手にかなりマークされ、得意のドリブルが生かせないことから、後半からワントップに。ドリブルで推進力を高めるとともに、より相手ゴールに近いポジションで起点となった。このポジションにとらわれない、割り切りの良さ。そしてPKのシーン。本人曰く、PKが苦手ということから「(2度目は)決まる気がしなかったのでキャプテン(FW7鈴木)に譲りました」と話すなど、潔さが感じられる。 そして得点シーン。FW10中原は試合中、プレーしながら相手DFを観察。ロングボールが入った際、相手センターバックがヘディングでGKに下げる、その特徴に気づいた。そこで生じるスキを虎視眈々と狙ったうえ、決勝点につなげた思慮深さがあった。 大和はここまで2年連続、2次予選に進出している。1年から出場しているFW10中原は「先輩たちがつないできたものを自分たちの代で終わらせたくない」。この強い思いが勝利につながった。 (文・写真=佐藤亮太)