【台風13号から1年 問われる備え】(上) 自主防災の動き広がる 組織強化、避難経路点検 福島県いわき市
今年度から地域の事情に明るい防災士を「地域防災サポーター」に認定し、自主防災組織の活性化を促している県も、大倉区をはじめ、いわき市で進む自主防災の取り組みを先行例と捉える。県災害対策課は「他市町村に広まれば県全体の防災力向上につながる」と関心を寄せる。 ただ、自助の大切さを広める正木さんが活発に動くのは設備面の対策が進まない不安の裏返しでもある。「被害を抑えるためには排水機能の拡充などが絶対に必要だ」と早期の施設整備を願う。県や市は被害が集中した内郷地区で河川改修を進めているが、抜本的な対策を終えるには十数年がかかるとの見通しがある。 ※2023(令和5)年の台風13号 9月5日に日本の南で発生し、台風の中心から離れた地域で雨雲が発達した。県内で初めて「線状降水帯」が確認され、いわき、南相馬両市を中心に浸水被害が多発した。いわき市では死者1人、軽傷5人を出し、家屋1817棟が被災。公共施設や農地などを合わせた被害総額は約50億円に上る。