ロボットや自動機械を活用して人手不足の解消策を探る組織「産業効率化地域プラットフォーム」が今年６月、南相馬市に誕生した。相双地方のものづくりの技術力を結集し、産業界の課題の解決策を発信してほしい。 　プラットフォームはロボットや産業機械の開発、製造に携わる南相馬市内の事業所、コンサルタント会社、金融機関、商工団体や産業支援団体などで構成している。企業の経営上の問題点を記したヒアリングシートを基に解決案を提示する。現在、相談から回答までの流れや、ヒアリングシートの内容を固めるための試験的な調査を行っている。来年４月以降の本格稼働を目指している。 　ロボットなどの機械技術を導入した省力化、効率化に関する提案をはじめ、既存のソフトや機器の紹介、課題の実態に即した機械の開発も目指す。さまざまな分野の製造業者がメンバーに加わっている強みを生かして相談受け入れの間口を広げ、幅広い問題に対応できる体制づくりを求めたい。

　東日本大震災発生後、ロボット関連産業の創出を目的に発足した「南相馬ロボット産業協議会」には、南相馬市以外の相双地方の企業、団体が参加している。プラットフォームは、こうした団体とも連携を深め、産業技術の活性化につなげるよう努めるべきだろう。 　県外にもアンテナを広げ、情報を収集する努力も欠かせない。神奈川、静岡、岐阜、大阪、福岡などにはロボット導入の支援拠点が設けられている。経済産業省はこれらの地域を組織化した「ロボット導入先進地域ネットワーク」を来年度にも発足させる。 　南相馬のプラットフォームも参画し、全国の団体とのつながりを強めるべきだ。他の優れた技術を吸収したり、応用したりする足掛かりになる。同時に、本県の技術力を全国に向けて積極的にアピールしてはどうか。 　浜通りでは、福島・国際研究産業都市（イノベーション・コースト）構想に基づき、ロボット・ドローンの開発や実証試験が進められている。イノベ構想で集積された先進的な研究成果を社会実装するため、プラットフォームは企業側との仲介役の機能も求められる。（平田団）