桂文枝が挑戦する新感覚の字幕付き落語とは?
これで世界に出て行って、いろんなところでやりたい
桂文枝が挑戦する新感覚の字幕付き落語とは? THEPAGER大阪
上方落語家の桂文枝(73)がこのほど、「字幕」落語会について大阪市内で発表会見を行った。文枝は6月、東京・神保町花月で、聴覚障害を持つ人や外国人を対象に、日本語と英語の字幕を掲げた落語会を開催した。これが盛況だったため、東京公演に続き、大阪で実施することになったもの。後ろのスクリーンにリアルタイムで字幕が映し出されるので、極めて画期的と言える。将来的には「これで世界に出て行って、いろんなところでやりたい」と語った。本公演は今月21日に「朝日劇場」(大阪市浪速区)で行われるが、それに先立ち、会場字幕のデモンストレーションもあった。 <私の恩人>桂文枝 噺家はへりくだるもの…一晩中泣いたあの言葉
スクリーンにリアルタイムで字幕が映し出される
この日、「せっかく花道があるから、花道から出たいなと思いまして」と、朝日劇場の花道から登場した文枝。「久しぶりに通天閣に来るのを楽しみにしておりました。さっきも、通天閣の近くで、イシツブテというポケモンをゲットしまして、通天閣はポケモンの戦いの場になっているというのをここへ来て初めて知りました」などと、ポケモンGOの話題を取り上げ「通天閣の下にある朝日劇場で今度(落語会を)やらせていただくということをとても楽しみにしております」と続けた。 この「多言語会場字幕付き公演」は、よしもとクリエイティブ・エージェンシーとNHKグローバルメディアサービスLIVE TEXTチームで取り組んでいるもの。これはハンディキャップのある方や外国の方など、英語と日本語の字幕のついた落語会だ。 NHK字幕放送の技術を応用したもので、後ろのスクリーンにリアルタイムで字幕が映し出される。「話している言葉をリアルタイムに字幕化し、3人のオペレーターが連携してリアルタイムで提供している」(NHK関係者)と言い、関西人だと早口でわかりにくいが、その時は関西出身のオペレーターを事前に用意しているという。
まだ課題は多く対策を考えている
本公演では、ネタは「宿題」「別れ話は突然に…」の2席を予定。落語については内容が決まっているので、事前に文章を起こしてもらっているという。 もっとも、英語では動詞が先にくるため、字幕だと「まだしゃべってるのに、先にオチが出てしまう」とも言い、まだ課題は多く、今後は英語で倒置法的な表現を使うことなど対策を考えているという。 この2席を選んだ理由については「何にしようかいろいろ考えたんですけど、あんまりダジャレのないものを。ダジャレは英語で表現しにくいというのもありますので。『宿題』は、私の弟子の三輝(サンシャイン)が外国でよくやっていて、よくウケるというのを聞いたものですから…(中略)。『別れ話は突然に…』はまだ弟子が英語でやったことがないですし、オチが心がほっとするような、温まるような落語なので選びました」と説明した。
おもしろい話が日本にあるよと世界に広がっていけば
最後に「これから外国人も増えてきますし、こういうおもしろい芸が、おもしろい話が日本にあるよと世界に広がっていけばありがたいことですし、また、耳の不自由な方にも落語はおもしろいものなんだなと分かっていただけたら僕も本当にうれしいです。噺家冥利に尽きると思いますね」と、意気込みを語った。 字幕付きの新感覚の落語が楽しめるだけに、注目したいところだ。 (文責/フリーライター・北代靖典)