【サンタクロース】モデルとなった人物の怖すぎる伝説。殺されて塩漬けにされた3人の少年をどうやって救った?
『黄金伝説』には書かれなかった聖ニコラウスの怖すぎるエピソード。それは……
ただ、この『黄金伝説』には含まれていない聖ニコラウスの伝説も当時、中世ヨーロッパでは広く知られていました。 それが、「塩桶の中の3人の学生(生徒)の蘇生」です。大串さんの論文によると ウォラギネが下地にしたギリシャ系の説話ではなく、もっとそれ以前からもともと西欧、特に北フランス地域で口承説話として語られていたものらしいです。 カトリーヌ・ルパニョールさんの著書『サンタクロースとクリスマス』(東京書籍)では、フランスで「聖ニコラウスの奇跡」という歌の形で伝わっている伝承を書いています。それは要約するとこんな内容でした。 「3人の子どもが落ち葉拾いに行ったら日が暮れてしまい、肉屋に泊まった。肉屋の主人は子どもたちが室内に入るなり殺してしまった」 「肉を小さいかけらに切り刻み、豚肉のように樽(たる)に詰めた。その7年後、通りかかった聖ニコラウスが、この肉屋に泊まった。聖ニコラウスは夕食の際、肉屋の主人からハムなどの料理を勧められるが断った」 「その上で、『7年前にあなたが樽に詰めた豚の肉が欲しい』とリクエスト。肉屋の主人は悪事がばれたことにびっくりして店の外に逃亡した」 「聖ニコラウスは『肉屋よ、逃げるでない。悔い改めなさい』と言った。そして、樽の上に座って『そこで寝ている子どもたちよ、私の名前は聖ニコラウス』と言って、3本の指を伸ばすと、子どもたちは3人とも起き上がった」 「1人目は『よく寝たな!』。2人目は『僕だって!』。3人目は『僕、天国にいたんだよ』と言った」 結果的に生き返ったとはいえ、子ども達を切り刻んで塩漬け肉にしてしまうとは……。精肉店の店主のあまりに残忍な行為が、あまりに気にかかってしまう恐ろしい伝説ですね。
聖ニコラウスがサンタクロースになるまで
こうした伝説を元に、聖ニコラウスはヨーロッパ各地で子どもの守護聖人として崇められるようになりました。 12月6日の「聖ニコラウスの日」もしくは前夜に、彼の名前で子どもたちに贈り物がされるようになりました。子どもたちは聖ニコラウスのために長靴下や靴を窓辺や玄関口においたそうです。 アメリカへはニューアムステルダム(現在のニューヨーク)に移住したオランダ系プロテスタントが伝えて、クリスマス・プレゼントをする既存の習慣と合体。 オランダ語で「聖ニコラウス」を意味する「シンタクラース」がなまって、「サンタクロース」になったと言われています。
BuzzFeed Japan