ソロデビュー30周年を迎えた奥田民生が、45歳でアピールをやめたワケ。ずっと憧れられる存在でいるには?
アピールは、とっくに終了してるんだよね(笑)
──THE BAND HAS NO NAME、寺田、井上陽水奥田民生、三人の侍、O.P. KING、The Verbs、サンフジンズ、地球三兄弟、カーリングシトーンズ、ABEDON AND THE RINGSIDEなど、ユニコーンとソロ以外にも、多くのバンドをやってこられましたよね。こんなにやっている人は、他にいないと思うのですが。 いや、みんなちょこちょこやってるんだけど、掲げてやってない、ってことでしょ。みんなはもっとしれっとやってるけど、俺は「今これをやってますよ!」っていちいち掲げてるから(笑)。 ──ただ、いろんな人と一緒にやりたい、という意志は強いわけですよね。 そうですね。やっぱり楽しいし、やめたくなったらやめていいっていうラクさもあるし(笑)。他のミュージシャンとやると、たとえば曲を作らなくてもよかったりするときもあるじゃん? ギターだけ弾いてるときもあるし、ドラムだけ、ベースだけのときもある。バンドの楽しさの中の、「演奏が楽しい」部分を、いろいろできるわけです。作曲は、あんまりしたくないですもんね。 ──演奏は好きだけど、曲を作るのはそうでもない、歌詞を書くのはもっとそうでもない、というのは、ずっとおっしゃっていますよね。 好きか嫌いかって言われたらね、嫌いよね(笑)。でも、もちろん作ってますよ? 昨日も作ってたし。本の中にも俺がどう曲を作っているかは書いてあるけど、でも「大好きです、曲を作るの」って思ったことは、1回もない(笑)。 でも、みんなそうなんじゃない? 活動のいろんなことを考えたら、そりゃあ作った方がいいわけだから、俺も作るんだけど。でも、そういうことを考えなくてもよかったりする現場もあるわけよ、こんなふうにいろいろやっていると。 俺の場合、「自分の音楽はこういう音楽です」とか、そういうアピールは、とっくに終了してるんだよね(笑)。アピールっていうのは、最初に登場して「私、こういう者です!」みたいなことよ? ソロになってアルバム『29』『30』を出したときは、そういう感じでやっていたけど。 でもそれはもう、45歳ぐらいで終了しているの。「こういうことができて、ああいうこともできて」っていうのは、ひととおり伝えたかな、と。そうしたら次は、自分の演奏力の向上だとかさ、もっといろんな音楽に向かうだとかさ、そういう方が楽しいもんね。