イスラエルがラファの作戦拡大を決定 ハマス「交渉は振り出しに」
イスラエルの戦時内閣は9日夜、パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで軍事作戦を拡大することを決めた。米ニュースサイト「アクシオス」が伝えた。イスラム組織ハマスへの軍事圧力を強め、人質解放に向けた取り組みを続けるという。一方、ガザ地区の休戦交渉を巡り、ハマスは10日、イスラエルが仲介国による休戦案を事実上拒否したことで、交渉は振り出しに戻ったと表明した。イスラエルによるラファでの軍事作戦などを念頭に交渉戦略を再考するとしている。 【地図】半年でガザの街はこれだけ壊れた アクシオスによると、イスラエルの軍事作戦の拡大について関係者の見方は分かれている。ラファ侵攻に反対するバイデン米大統領の「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えない「慎重な拡大」との見方がある一方、「レッドライン」を越えたと捉えられかねない作戦が含まれていると指摘する関係者もいるという。 ロイター通信によると、イスラエル軍は10日、ラファを東西に分ける幹線道路を占領し、事実上、ラファの東部全域を包囲。ハマスは10日、イスラエル軍がラファ東部の市街地から数キロ離れた郊外まで侵入したと主張した。また、イスラエル軍は11日、ラファ東部のうち6日に退避を求めた地域とは別の地域の住民に退避するよう要求した。 米メディアによると、イスラエルは7日、エジプトとの境界にあるガザ側のラファ検問所を制圧したが、エジプトと十分な調整をせずに行ったという。エジプトは、イスラエルが開放しているガザ地区南東部のケレム・シャロム検問所に、人道物資を積んだトラックを送るのを拒否。ラファ開放に向け、イスラエルに圧力をかけているとみられるが、その影響もあり、ガザ地区への食料や燃料などの搬入は滞っている。 AP通信によると、国連人道問題調整事務所(OCHA)の職員は、国連世界食糧計画(WFP)がガザ南部で配る食料は11日までに枯渇するだろうと指摘。燃料も間もなく枯渇し、病院の業務に支障が出かねない状況だという。【エルサレム松岡大地】