玄人好みの4ドア×4シリンダー【2】品質と剛性をアップさせた4ドアセダンは父との思い出のクルマ
玄人好みの4ドア×4シリンダー 1987年式 日産 サニー 4ドアセダン ツインカム スーパーサルーン 【画像17枚】大衆車から脱却するべく品質と質感が大きく向上したB12サニー 1966年の初代デビュー以来、40年以上も日産の屋台骨を支えてきたサニー。最大のライバルであるカローラと競い合い、日本のモータリゼーションをけん引してきたファミリーカーの代表格といえる存在だ。そんなサニーのなかで「ジャストサイズ・クオリティーセダン」をコンセプトに開発されたのが「トラッド・サニー」の愛称で知られる5代目B12サニーだ。 それまでのファミリーカーといえば、価格相応の「それなり」の造りが一般的だった。しかしB12は本物を求めるユーザーニーズに合わせ、高い品質を追求。つまり、クラスを超えたクオリティーの大衆車に仕上げられたのである。 エクステリアデザインは、ベーシックを大切にするべく、あえてセダンらしい落ち着いたフォルムを採用。ただ、万人に好まれるシンプルで飽きのこない造形ながら、ボディにフィットしたカラードバンパーなどを取り入れて新鮮さを表現。併せて、空力性能も追求している。そして、見た目以上に進化したのがボディ。走りの質感や高い安心感にこだわった結果、優れた車両基本性能が必要と考え、車体剛性の向上に注力した。具体的には、シル断面にレインフォースを設けて板厚を増大し、メンバー類の補強のほかサスペンションやステアリング系のボディ取り付け部の剛性を大幅に向上。さらに、防錆鋼板を多用したりカチオン電着塗装を施すなど、剛性アップとともにサビに対する処理も徹底的に施された。 必要な装備を使いやすいシンプルな室内 もちろん室内も、ボディ同様に先代よりも質感が一気にアップ。加えて快適性や利便性を向上させる装備が多数採用され、運転席周辺は目線や手足の動きに無駄や無理がかからない操作系レイアウトとしている。 デビュー時のエンジンは、1.5ℓSOHCターボをトップに、計5種を搭載。86年には、日産初の1.6ℓDOHCユニットであるCA16DE型を追加。トヨタの4A‐G型、ホンダのZC型と肩を並べるスポーツユニットが搭載されたことにより、走りの質やスポーツ性がさらに高まった。また、サニー初の4WDが設定されたこともトピックのひとつだ。当初はパートタイム式だったが、86年にビスカスカップリング付きのセンターデフを用いたフルタイム4WDが追加された。ちなみにサスペンションも、フロントこそ先代と同じストラット式だが、リアには新開発のストラット式を採用し、より快適な乗り心地や素直なドライブフィールを手に入れた。 このように、見える部分だけでなくクルマの基礎から見直し、大衆車からの脱却を図ったB12。長いサニーの歴史のなかでも、著しい進化を遂げたモデルと言えるだろう。 取材車両のオーナーがこのB12を手に入れたのは、今から約31年も前のこと。端正な4ドアセダンのスタイリングやツインカムエンジンなどが好みで、今は亡き父親と共同で新車を購入したそうだ。初めてのマイカーとなったB12に目立ったトラブルはなかったが、2013年にエンジンから異音が出たためオーバーホール。さらにその2年後には追突事故に遭い、リアを大きく破損。修理のついでにフロアの穴を塞ぎ、サビ補修も行ったという。オーナーは通勤にも使用しているため、現在の走行距離は31万㎞超。部品不足が悩みの種だが、今後は現状維持に努めるそうだ。 奥さまと息子とともに取材場所にやってきたオーナー。父親が以前B110サニーに乗っていたことや、自身がハコスカの4ドアが好きということもあり、数ある4ドアセダンのなかからB12サニーを選んだそうだ。 こうしてオーナーの手もとにB12サニーが来てから30年以上もたったわけだが、「エンジンの電装系パーツが少なくなってきています」と嘆く。しかし、できることは自分でやり、なるべくコストを抑えて今後もサニーライフを楽しんでいくという。 SPECIFICATIONS主要諸元 サニー 4ドアセダン ツインカム スーパーサルーン(EB12) 全長×全幅×全高(㎜) 4155×1640×1385 ホイールベース(㎜) 2430 トレッド前/後(㎜) 1425/1420 車両重量(㎏) 1030 エンジン型式 CA16DE型 エンジン種類 直列4気筒DOHC 総排気量(cc) 1598 ボア×ストローク(㎜) 78.0×83.6 圧縮比10.0:1 最高出力(ps/rpm) 120/6400 最大トルク(㎏-m/rpm) 14.0/5200 変速比 1速3.063/2速1.826/3速1.286/4速0.975/5速0.810/後退3.417 最終減速比 4.471 ステアリング ラック&ピニオン サスペンション ストラット(前後とも) ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク タイヤ 185/60R14(前後とも) 発売当時価格 157.0万円 初出:ハチマルヒーロー vol.48 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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