《独占インタビュー》宇野昌磨に後悔の涙はない「えー、まだ全然できるよ」引退の1年前、浅田真央さんに相談していたことは?
日本男子として初めてフィギュアスケート世界選手権連覇を果たし、全日本選手権では4連覇を含む6度の優勝――。日本を、世界を魅了し続けた宇野昌磨(26歳)が下した決断。柔らかく、まっすぐな言葉でその心境を明かす。 【初出:発売中のNumber1098号[引退インタビュー]宇野昌磨「後悔の涙はなかった」より】 【写真】「爽やかすぎる…」引退会見で宇野昌磨が浮かべたハニカミ笑顔…「キャリアが凝縮されている」最後の全日本選手権で見せた“圧巻の演技”や、ランビエルコーチとの絆…『Number』が撮ってきたフィギュアスケーター・宇野昌磨を写真で見る
いつもよりトーン高め、テンション上げていきました
引退会見から1週間がたった初夏の午後。宇野昌磨(26)は、雲の隙間から差し込む日差しに「まぶしいですね、屋外に出ない生活だったので」と笑いながら、ゆっくりと会見の日を振り返った。 「あの会見は、とにかく楽しいものにしたいな、という思いでした。『引退』と聞いてネット配信を見る方に対して、雰囲気を作るというか。いつもよりトーン高めで、テンション上げていきました」 司会者を交えてのトークショー形式で、しんみりした空気は一切ない。失敗エピソードで笑いをとる場面さえあった。 「ファンの方々の中には、悲しまれる方もおられたかもしれません。でも『僕は悲しくないんだよ』と伝えたかったんです」
ステファンが喜ぶ姿に「ああ、よかったな」
会見では『スケート人生で一番思い出に残る、宝物のような瞬間』を聞かれた。 「あの質問をされた瞬間に、バーっとこれまでの事を振り返りました。最初は、もっと新しい記憶が頭に浮かぶのかなと思ったのですが、実際は2022年の世界選手権で初めて優勝したときのステファン(・ランビエルコーチ)の顔が浮かんだんです」 キス&クライで、宇野の背中や膝、頭を何度も揉みくちゃにし、おでことおでこをぶつけて喜んだ、その瞬間である。 「僕って、優勝しても心の底から超喜ぶというタイプではない分、隣で喜びを爆発させてるステファンを見て、『ああ、結構すごい事をやれたんだな、良かったな』と感じられたんです。実は翌年に優勝した時は『よくやったね! 』くらいでリアクションが全然違って、『2回目ってこうなるんだ、人は慣れてしまうものなんだな』と思ったのもあって、やっぱり1回目だなと(笑)」 引退会見から遡ること2年。宇野が“宝物”と表現するこの日から、競技への気持ちは少しずつ変化していた。 「'22-'23シーズンが始まってみると、ゆづくん(羽生結弦)とネイサン(・チェン)がいない状況でした。そのシーズン、良い成績は残していましたが、『熱く何かを追いかける中でここまで伸びてこれたのに、今はそういう自分がいないな』と感じていました」 シーズン最後の世界選手権では連覇を決めたものの、直後の優勝者インタビューでは、『去年ほどモチベーションを感じていない』『オフのショーに出て、自分が求めるべき場所を探したい』などと、プロ転向を示唆するようなセリフも口にした。 「その時の感情をそのまま喋ってしまいました。本当にそれくらいのテンションだったんです。オフシーズンは真剣に今後どうするかを悩みました」 この時期には、大先輩へも相談していた。5歳のとき、自分をフィギュアスケート界へと誘ってくれた浅田真央さんだ。 「第一声は『えー、まだ全然できるよー』でした。僕にとって、人に相談するのはとても珍しいことなんです。だから真央ちゃんも『こうしたほうが良いよ』とは言わずに、競技生活最後の時期の色々な思いとか、自身の経験を話してくれました」 真央さんのショーも観に行き、その熱量を目の当たりにした。
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