DeNA・徳山壮磨が飛躍の一年で得た手応えと悔しさ 家族への感謝を胸に見据える来季
【球界ここだけの話】しびれる秋の最終決戦に加われない悔しさを胸に、ひと足早く来季への歩みを進めている。9月に内視鏡下腰椎椎間板摘出術を受けたDeNA・徳山壮磨投手（25）はCSを戦うチームとは離れ、神奈川・横須賀市の球団施設DOCKで地道なリハビリに励んでいる。 【写真】訪問授業で児童と給食を食べる徳山 転機の一年だった。大阪桐蔭高から早大を経て2022年にドラフト2位で入団。精神面での大きな困難も乗り越え、3年目の今季1軍デビューを果たした。力強い直球を武器に中継ぎの一角に入り、プロ初ホールド、初勝利も記録。前半戦だけで29試合に登板し、開幕直後から主力の離脱が相次いだブルペンの救世主となった。 そんな最中だった。下半身に激しい違和感が襲った。腰椎椎間板ヘルニアにより歩行すら困難な状況に、離脱を余儀なくされた。何とか1軍に戻りたいという思いとは裏腹に、一向に上向かない症状。苦渋の思いで来季の復活を目指し、手術を受けることを決めた。 決断したからには、リハビリ期間での進化を目指す。投球練習再開後は「決め球」をテーマに設定。「1軍で投げて、直球はゾーンで通していけば力で勝てるという手応えは得られた反面、追い込んでから投げる球がなくなってバットに当てられることが多かった。リリーフだとそこで三振を取れる投手がピンチの場面でも起用されるし、価値がどんどん上がっていく」と変化球向上に意欲を示す。 持ち球であるカーブ、フォーク、カットボールの精度も含め、同僚のウィックにパワーカーブの握りを聞くなど「カーブが決め球でも勝負できれば、真っすぐもフォークもあるところでより良くなる」と見据える。 大学時代からグラブに刻み続けている言葉がある。『氣』と『親孝行』。今季の活躍も誰より喜んでくれたのが両親だった。「野球をやっていて、親の喜ぶ顔が一番うれしい」。プロ入り時には家族への感謝の思いを込め、数百万円をかけて実家の外装などを新築のようにリフォームした。「まだまだ、もっと稼いで何かしてあげたいし、『旅行に行ってきいや』って言えるようになりたいですね」。ここで立ち止まるわけにはいかない理由がある。 一過性では終わらせない。飛躍の一年でつかんだ確かな手応えと悔しい思いも糧に、壮大な未来へと腕を磨く。（浜浦日向）
