45歳以上の国別団体戦で日本男子は準優勝。スペインに敗れるも、エース本村剛一は「日本の強さを見せられたと思う」<SMASH>
45歳以上の世界一を決める国別対抗団体戦「ITFマスターズ 世界チーム選手権 in 東京 2024 supported by SENKO」は、11月22日に有明テニスの森公園・有明コロシアムで大会最終日を迎えた。男子日本チームは決勝でスペインと戦い、0-2で敗れて準優勝となった。 【連続写真】福田勝志の深く運ぶバックハンドスライス『30コマの超分解写真』 第1試合のS2寺地貴弘(45歳/元世界219位)は、スペインのF・J・マルチネス・バエナに2-6 4-6で敗戦。引退後は3セットマッチを一度も行なっていない寺地にとって、ここまでの4試合は身体に大きな負担をもたらした。 誰かに聞かれれば「大丈夫です」と答える寺地だったが、持病の腰痛が悪化。加えて前日のフランス戦で腹筋を痛めて満身創痍の状態。チームにもそれを隠し、「コートに立てば、動けてくるかも」という一縷の思いで試合に臨むが、序盤でぎっくり腰のような「抜けるような感覚」を覚え、サービスもまともには打てなくなった。 しかしその中でも、「どうにかしてチャンスが訪れないかと工夫した」と言う。第1セットは相手にフォアを打たせ、そこからの展開を狙った。第2セットはその真逆の作戦を試みることで、追い上げを見せるが、「1-1でゲームポイントがあったのにそこを逃し、ブレークされたのが結果的には大きかった」と、最後は振り切られた。 後がなくなった日本は、S1本村剛一(50歳/元世界134位)が、世界大会優勝経験も豊富なR・メネンデス・フェレと対戦した。 「この大会出場にあたっては、ロベルトを倒すことが大きな目標だった。その彼と最高の舞台で戦えるということで、これまでのような変な緊張感はなく、自分らしいプレーができた」と、ストローク力で上回り、第1セットを6-4で先取する。 相手の集中力が上がった第2セットは一気に1-5と突き放されるも、相手の片手バックの高い打点にボールを集めることでミスを誘い、4ゲーム連取で5-5に追いつく。しかしサービスゲームの安定感で振り切られ、5-7でセットオールとなった。 ファイナルセットは本村が4-0とリードするが、45歳以上ITFランキング1位のメネンデス・フェレが怒涛の追い上げでその数字を証明し、試合はタイブレークへ突入。タイブレークでも本村が先行したが、あと1ポイントが届かず、6-8で決勝は幕を閉じた。 試合を終え、寺地は「45歳になって国の代表として戦うイメージを持っていなかったが、誰でも出られるものではない。朝起きて試合があるという緊張感、刺激的な数日間を過ごせて本当に満足している」と、“最初で最後”という挑戦に達成感を漂わせた。 本村は「日本の強さを見せることができたと思う。まだわからないが、次オファーがあれば出てみたい気持ちはあるし、毎試合久しぶりにプレッシャーの中でプレーできたことは、新鮮であり、忘れていたことを思い出させてくれた」と、今後の可能性も示唆した。 2人とも元ATPランカーであり、日本を代表した選手であり、現在はコーチでもあり父親でもある。彼らが決勝も含め、3セットマッチを5試合戦った姿は、挑戦することに年齢は関係ないということを全身全霊で証明したと言える。 ◆男子決勝結果 日本「0-2」ドイツ MS2 ●寺地貴弘 2-6 4-6 F・J・マルチネス・バエナ○ MS1 ●本村剛一 6-4 5-7 6-7(6) R・メネンデス・フェレ○ MD 有本尚紀/福田勝志 vs F・J・マルチネス・バエナ/P・ニエト・オレリャーナ ※勝敗決定につき実施せず 構成●スマッシュ編集部