中国の高級コスメ「MAOGEPING」が香港で上場へ、創業者はビリオネアに
中国の高級コスメブランド「MAOGEPING(マオゴーピン)」は、香港市場で準備中の新規株式公開(IPO)で最大18億ドル(約2690億円)の時価総額の達成を目指している。この上場で、自身の名を冠した同ブランドを20年以上前に立ち上げた中国のメイクアップアーティストの毛戈平は、ビリオネアの仲間入りを果たそうとしている。 フォーブスは、現在60歳である毛の資産を8億3000万ドル(約1240億円)と見積もっている。杭州市に本社を置くMao Geping Cosmeticsは、目論見書によるとこの上場で最大2億7000万ドル(約400億円)の調達を見込んでいる。同社の株式は12月10日に香港証券取引所に上場する。 2000年に設立されたMAOGEPINGには、エスティーローダーやロレアルなどの国際的なブランドに勝つためのいくつかの優位性があると上海の調査会社カンター・ワールドパネルのホイ・チュンは述べている。MAOGEPINGの化粧品は、アジア人の肌に適しており、近年の中国の若者の間に広がる「国潮」と呼ばれる国産ブランドを好む消費トレンドにも合致しているという。 「中国の消費者は、以前は自国のブランドをあまり信頼していなかったが、今では信用している。そしてMAOGEPINGは、品質や製品のイノベーションの面でも消費者の期待に応えている」とチュンは述べている。 毛は、TikTokの中国版の抖音(ドウイン)などのSNSでメイクのアドバイスを行っており、自社製品を使用して多くの中国の著名人やインフルエンサーのメイクを手がけてきた。MAOGEPINGの2024年上半期の売上高は、前年同期比41%増の約20億元(約410億円)に達し、純利益も同じく41%増の4億9250万元(約100億円)を記録した。同社の売上の99%以上がプレミアムラインからのものだが、2008年に立ち上げた大衆向け化粧品ブランド「Love Keeps」からも収益を上げている。 MAOGEPINGは、これまで中国本土で上場を試みたことがあったが、規制当局の厳しい審査に直面して、申請を取り下げていた。同社が香港を選んだ理由の1つは、国際資本市場へのアクセスを目指すためだと目論見書に記されている。 MAOGEPINGはまた、別の課題も抱えている。中国経済の低迷は全般的な消費に影響を及ぼしており、同社が急成長を維持できるかは不透明だと、香港の証券会社エバーライト・セキュリティーズ・インターナショナルのケニー・エンは指摘した。 さらに、中国のコスメ市場は競争が激化している。MAOGEPINGは、この市場のニッチなカテゴリーを開拓したが、同社の中国のプレミアム美容市場における売上高ベースのシェアは、2023年時点で1.8%に過ぎないと目論見には記載されている。また、この市場では1位から5位までを海外ブランドが占めており、MAOGEPINGは7位とされている。 このような厳しい競争を生き抜き、成長を続けるためには、消費者とのエンゲージメントを維持し、マーケティングに投資し続ける必要があるとカンター・ワールドパネルのチュンは指摘している。
Yue Wang