東大でも1.6倍に「戦略的休学」する大学生が増えているワケ 企業人事もプラスに影響か
学生の「休学」が増えているという。さまざまな理由があるなかで、増えているのは「戦略的な休学」だ。4年で大学を卒業するという従来のセオリーは崩れており、起業・インターン・留学などを取り入れる多様化が進んでいる。専門家は「大学像の変化が進んでいる」と指摘する。 【表】人気企業110社が採用したい大学は? 就職者数はこちら(全9枚) * * * ■大学生活「4年じゃ足りない」 「休学はしようと思っていました。やりたいことを考えると、大学の4年間じゃ足りないと思ったんです」 そう話すのは、現在、都内の私立大学に通う黒沢辰也さん(24歳・仮名)。1年の浪人を経て2019年に入学し、大学3年時に1年間、海外を放浪するため休学した。現在は就活を終え、資格取得に励んでいるという。 「留学という選択肢もありましたが、大学の制度で決められた場所に行くのではなく、自分が行きたい国に、自由に行きたいと思っていたんです。留学制度だと留学先での大学生活を送ることでいっぱいいっぱいになりそうだったので。とにかく若いときに海外を回って、見ておきたいと思いました」 黒沢さんが「休学」について考えるようになったのは、大学受験をするころだったという。 「親には大学4年で卒業してすぐに会社に入ることを勧められていました。でも、現役での大学受験に失敗し、浪人生活になったときに再度自分の人生計画を見直したとき、どうせなら大学生活でできるだけいろいろなことを経験してから就職したいと考えるようになったんです。大学入学後にどこかのタイミングで海外に行きたくて、休学しようと思いました」 また、黒沢さんは周りの就活への意識も、自分の“休学意識”を駆り立てたと話す。 「2年生の後期ぐらいに周りが就活に関してすごく敏感になっていて、『早くね?』って思いました。みんなどういう経験をしているのかは知らないけれど、自分は大学生でやりたいことがまだたくさんあると思い、決意が固まりました。ちょうど目安にしていたお金がたまったときだったので、すぐに親に相談して休学の費用を出してもらいました。両親は、最初はとても反対していたんですけど、自分のお金で行く、と言ったらもう何も言わなくなり、休学の費用は出してくれましたね(笑)」 現在は、就活を終え、学生への海外留学支援をする会社から内定を得ているという。