巨人12年ぶりの日本一へ 阿部慎之助監督の期待に応えた「3人の若手」がチームに勢いをもたらした
【守護神・大勢「ひとつひとつの積み重ねが優勝につながる」】 シーズン終盤の安定した戦いぶりは、入団3年目の守護神・大勢の復活なくして語ることはできないだろう。昨年はWBCで世界一を経験した大勢だが、その後のシーズンは右上肢のコンディション不良に苦しんだ。今季も開幕には間に合わせたものの、5月3日の阪神戦で右肩の違和感を訴えて途中降板。約2カ月の戦線離脱を余儀なくされた。 だが、6月30日の広島戦で戦線復帰を果たすと、大勢はそこから守護神に返り咲き、29のセーブを積み重ねて優勝に貢献した。 9月27日の中日戦では、通常よりも早い8回2死1、3塁の場面でマウンドに上がると、中日の4番・石川昂弥にタイムリーヒットを許したものの、続く細川成也をフォークで三振に打ち取り、ピンチを脱した。 「ブルペンからマウンドに向かう時に、みんなが声をかけて盛り上げてくれて、気持ちよくマウンドに上がれました。フォークボールがボール(ゾーン)からボール(ゾーン)に外れてしまい、有利なカウントを作れずに甘い真っ直ぐを打たれてしまった。(調子は)いつも通りでしたが、ランナーを返してしまった点は次回以降の反省点にしたい」 そう反省の弁を述べた守護神は、9回のマウンドにも登場。2安打を許したものの無失点に抑え、今季2度目の回跨ぎの起用にも応えた。 「(アウト)ひとつひとつの積み重ねが優勝につながると思っているので、前のめりにならないようにしていました。優勝を決める展開になったら、しっかりと投げたい」 そしてマジック1で迎えた翌日の広島戦では、8対1で迎えた最終回、9回2死からマウンドへ。1安打を許したものの、失点は許さずに3年目で初の胴上げ投手となった。 4年ぶりのリーグ優勝を果たしたチームは、クライマックスシリーズでの勝利、2012年以来12年ぶりの日本一を目指す。復活した守護神は、また歓喜の瞬間を迎えることができるか。
白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi