市原隼人、“正しい道”を求めて彷徨う男を演じ「苦しくも“かけがえのない時間”になった」
“他人に見られたくない姿”を見せたい
田胡には悲しい過去があった。抱えきれないほどの哀しみを抱えてきた。だから彼は相手を騙し、目的のために、自分の信じる正義のために詐欺師を喰らう。しかし、自分の信じる正義とは何なのか? その正義は本当に正しいのか? 「人間は結局のところ、どう生きていいのか分からないものだと思うんです。どれが正解なのか分からないですし、自分が正解だと思っていることがあったとしても、それが他人の犠牲の上に成り立っているかもしれない。生きる上で、本当の正義とは何だろう? 何が人生の意義なんだろう? そんなことをずっと問いかけながら演じました。まだ考え続けている段階です」 共演陣と緊迫感のある“騙し合い”を演じながら、同時に自身の中で芽生え、渦巻く葛藤も表現しなければならない。田胡は難役だ。市原は「本当に苦しくて……できることなら早く終えたかったです」と笑顔を見せるが、同時に「役者としては“かけがえのない時間”をいただけていると常に感じていました」と語る。 「自分にとってすごく大切な役になりました。僕自身が常に台本に欺かれているような感覚がありましたし、共演者の方がたくさんいますが、いつも孤独を感じるような役でした。とてつもない緊張感と孤独があって、演じていくうちに声が出なくなるような感覚が常にありました。なのでとても苦しいのですが、役者としては“かけがえのない時間”をいただけていると常に感じていました。 田胡は1話から涙は流すし、鼻水は垂らすしで、決してカッコいい男ではないんです。後に美化されるような男でもありません。影の薄い目立たない男なんです。だからこそ、この作品では“他人に見られたくない姿”を見せたいと思いました。すごく弱くて、自分の中の軸や信念すら失ってしまった弱い人間の姿をさらけ出して、人間のもつ“迷い”を出せればいいなと思っていました。 田胡の場合は、悩み続ける中で見つけた逃げ道が“詐欺”だった。相手を騙して、詐欺師になることで自分を正当化しようとしている。でも、誰もがそうであるように、田胡も自分の中にある“正義”を求めて彷徨っている。そんな男の姿を見ていただくことで、お客様に何かを感じていただければと思っています」 自分の信じる正義のために、自分の目的のために相手を騙し、進み続ける田胡は、物語のラストにどんな“正義”を見つけるのだろう? 騙し通した者が勝利し、騙された者は何も言わずに姿を消す。そんな単純なドラマでは決して描けない重層的な感情が『ダブルチート 偽りの警官 Season2』のラストには待っている。 「エンターテイメントはお客様にご覧いただいて初めて成立するものですので、何を置いても最も大切なのはお客様です。その方たちに何を伝えるのか? この作品のどこが他の作品にはない部分なのか? どの作品であっても考えを積み重ねて、お客様に楽しんでいただきたいと思って撮影現場に入るようにしています。 田胡悠人は息をする度に敵が増えていくと言いますか(苦笑)、憎悪や哀しみが常にのしかかっていく男ではあるのですが、同時に話が進むにつれて“人間愛”も彼の中で膨らんでいくんです。田胡は表面的には人を欺く、決して肯定されないような人間ではあるのですが、彼が“正しい道”を見つけようと彷徨う姿を通じて、お客様それぞれが自身の境遇であったり、これまでの道のりやこの先についてあらためて見つめ直すきっかけにしていただけたらありがたいと思っています」 撮影:川野結李歌 スタイリスト:小野和美 ヘアメイク:大森裕行(VANITÉS)、福間友香(VANITÉS) <番組情報> 『WOWOW×テレビ東京 共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season2』 テレビ東京:2024年10月6日スタート 毎週日曜深夜 1:50~2:25 テレビ大阪:2024年10月10日スタート 毎週木曜深夜 2:05~2:35 配信:各話地上波放送より1週間先行配信 第1話は9月29日(日) 夜8:00から配信開始 脚本:吉田康弘、藤澤浩和 監督:波多野貴文、河野圭太(共同テレビ) 音楽:諸橋邦行 主演:市原隼人 出演:内田理央、荒川良々、淵上泰史、結木滉星/升毅、羽場裕一、岩松了、ベンガル、佐野岳/橋本じゅん、伊藤淳史、陣内孝則(特別出演)、向井理 (C)WOWOW テレビ東京 ※吉田康弘の「吉」は「つちよし」が正式表記