【動画】<なにわ点描>あべの筋がハリウッド映画に出てた? 映画「ブラック・レイン」ロケ地の今
日本一の超高層ビル「あべのハルカス」から南へ約400メートル弱の場所にある大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋2の商店街。向かい側には「あべのベルタ」や「あべのキューズモール」があり、この下には大阪市営地下鉄谷町線の阿倍野駅もあるにぎやかな場所だが、特に普通の風景だ。だが、ここで米映画「ブラック・レイン」(1989年公開)の撮影が行われていたのをご存知だろうか。
M・ダグラス、A・ガルシアがいた関東煮屋台の場所は?
同作品は、ニューヨークの刑事ニック(マイケル・ダグラス)が逮捕した日本のヤクザ・佐藤浩史(故・松田優作さん)を同僚のチャーリー(アンディ・ガルシア)と大阪へ護送するも取り逃がす。責任を感じた2人が、大阪府警の捜査に加わろうとするも府警それを許さず、松本正博警部補(故・高倉健さん)の監視下に置かれ、ニックと松本は衝突を繰り返しながら友情を育んでいくというクライム・アクションだ。 そんな映画のロケ地に、この阿倍野筋2が使われた。チャーリーがこの場所にあった「関東煮(かんとだき)」の屋台でチクワなどをほおばり、ニックがある事件の証拠品を燃やし、真相に気づくという重要なシーンだった。 いま同作品を見ても屋台どころか、周囲にあった「そば店」や「金物店」などは存在せず一見「ほんまにこの場所?」と思ってしまう。しかし、阪堺電気軌道車両が横切り、アーケードもあることから「あべの筋」ということだけはわかる。 そこで、DVDをコマ送り再生すると、向かい側にボウリング場のピン、証券会社の看板。アーケードの柱や阪堺電気軌道の鉄柱、公衆電話などが映っていた。それを基に近所の人に聞き、古い地図を入手して画面に映っていた屋号などを照らし合わせた結果、この撮影場所を特定することができた。
撮影場所前は高級マンションに。再開発進み風景も一変
その場所を訪ねてみると、ヒントとなった「そば店」跡地はおしゃれな高級マンションとなり、1階部分には不動産会社が。金物店もおしゃれなレストランに変わっていた。また、電車車両をはさんだ向かいに映っていた団地らしき建物やボウリング場などは「あべのキューズモール」に。 撮影場所のすぐ近くにある飲食店の男性(39)は「ええっ、ほんまですか。ここで10年以上店をやってますけど全然知りませんでした。ちょっとこれは、お客さんとの話題にさせてもらいますわ、ありがとうございます」と笑顔で話す。子どものころから近所に住むという男性は「作品は観たし阿倍野署で撮影したんは知ってたけど、ここで撮ってたのは知らんかった。スゴイね」などとうれしそうに話していた。 このシーンに高倉健さんは出ていないが、別のシーンでこの付近の「あべの筋」を捜査車両に乗って通ったり、阿倍野警察署(旧庁舎)で撮影されたことは知られている。またDVDのリドリー・スコット監督の副音声解説によると、通りすがりでここにあった屋台をみて気に入り許可なしで撮影。「終了間際に警察が来た」ということを明かしている。この地区は特に再開発が進むなどしたため、作品の映像と今を見比べると変わり方が激しい場所のひとつなのかもしれない。 ※映画「ブラック・レイン」公開から25年。舞台となった大阪の街もすっかり変わってしまった。18日に高倉健さん死去のニュースが報じられ、高倉さんが出演する同作品などの映画DVDがランキング入りしているという。大阪の人たちにとっては「ブラック・レイン」は親しみのある作品のひとつだろう。そんな同作品のロケ地の今を紹介していく。