全英女子オープンの競技委員・中﨑典子プロに日本とセントアンドリュースの“ルーリングの違い”を聞いた
歴代最多の19人の日本人が参加するAIG(全英)女子オープンが今日、開幕する。現地の練習日・21日に、1番ホールから何やらメモを持ち、何人かでコースを歩いている人たちを発見。そのなかにはJLPGA競技委員で、週刊ゴルフダイジェストや月刊ゴルフダイジェストでお馴染みの中﨑典子プロもいた。実際に何をしているのか話を聞いた。
全国から集まるからこその重点的な確認作業
AIG(全英)女子オープンは、R&A傘下である様々な国の競技委員が選抜され、大会が行われている。そのなかでもっとも大事になってくるのが、どの競技委員が同じ現場に立ち会ったとしても、同じルールの裁定をするという“公平性”だ。そのために競技委員は練習日に「コースウォーク」を行っている。この「コースウォーク」とは18ホールをR&Aのチーフレフリーと競技委員が一緒に回り、ローカルルールの確認やホールごとのルールの注意点を確認するためのもので、日本から競技委員として選抜された中﨑プロもこれに参加していた。では実際にどのような話をしていたのか、話を聞いてみた。 「リンクスコースの特徴であるポットバンカーでのルールの確認や、クリーク部分の対応の仕方など、細かいルールの確認を18ホールずっと協議しながら問題がないように詰めていました。細かいルールの確認はもちろんですが、セントアンドリュースは気候が変わりやすいのが特徴で止む終えず中断する可能性も高いので、そのときの対処法まで、試合までにしっかりと競技委員で話し合って決めているんです」 天候の読めないセントアンドリュースでの全英女子オープンでは、気象予報士も会場に入り、常に天候のチェックしているのだという。さすが海外メジャー、プロたちが最高の舞台で戦うための支えとなる“土台”がしっかりしていた
ポットバンカーの積み芝(壁)に球がくい込んだ!
ここでセントアンドリュースの象徴のひとつ、ポットバンカーのルールについて一例を挙げてみよう。 ポットバンカーからショットを打った際に積み芝(壁)に食い込んでしまうことがまれにある。その際の対処法はローカルルールで定められている。 通常、日本にあるようなバンカーの縁(壁)に食い込んだ場合(※文末に説明リンクあり)は、食い込んだ球の救済が無罰で受けられるが、セントアンドリュースのポットバンカーの積み芝(壁)に食い込んだ場合は、裁定が異なる。無罰の救済は受けられず、そのまま打つかアンプレヤブルを宣言するしかないのだ。 このようなセントアンドリュース独自のローカルルールは他にも存在する。だからこそ、海外メジャーの全英女子オープンを円滑に進めるには競技委員の「コースウォーク」という見えない部分の支えも大事になってくるのだ。
みんゴルツアー担当