佐々木麟太郎、ドラフト2年先でも早くも注目「1巡目指名が見込まれている」デビュー戦特大弾
<フレデリック1-11トレントン>◇11日(日本時間12日)◇ナイメオフィールド 米国の皆さん、これが日本高校史上最強スラッガーのパワーです。米スタンフォード大の佐々木麟太郎内野手(19)が、デビュー戦で2ラン本塁打を放った。プロを目指すアマチュア選手が腕前を披露するMLBドラフトリーグに、トレントン・サンダーの一員として敵地でのフレデリック戦に「4番・一塁」で初出場。3回の第2打席で右越えに1発を放った。花巻東の先輩ドジャース大谷も1発を放った同じ日に、史上最多とされる高校通算140本塁打のパワーを米国で披露した。 【写真】米国デビュー戦で本塁打を放った佐々木麟太郎 ◇ ◇ ◇ これぞ長距離砲という放物線を描いた。1-1で迎えた3回2死二塁の第2打席。麟太郎は2球で2ストライクと追い込まれた。90・7マイル(約146キロ)の真ん中低め直球を捉えると、打球は右翼へ向かって高々と弧を描いた。確信歩きでベースを回ると、本塁手前でヘルメットを取った。米1号は352フィート(約107メートル)の決勝アーチ。走者と次打者も、脱いだヘルメットを合わせて祝った。 バットを寝かせ気味にし、どっしりした下半身を沈み込ませ、低めの投球をかち上げた。打球角度41度の高弾道は、高校の先輩でメジャー通算187本塁打のドジャース大谷でも、過去に3本しかない。清宮幸太郎(早実→日本ハム)を超える高校通算140本塁打は、米国でも紹介されたが、真の長距離砲であることを証明した。 高弾道を見せた後は、高速打球を放った。6回2死一、二塁の第4打席。カウント2-2から外角高めの直球をはじき返した。打球速度は105・7マイル(約170キロ)。あっという間に右翼へ抜けた。右翼手が捕球した時点で二塁走者は三塁手前だったが、右翼手が長打を警戒してフェンス手前まで下がっていたため、悠々と本塁に生還した。 米国デビュー戦を5打数2安打1四球3打点の活躍で飾り「リンタロー・ササキ」の名前を知らしめた。地元の実況アナウンサーは試合序盤に「大変なパワーヒッター。この試合の一番の注目選手」としながらも、佐々木を「サザスキー」と呼んでいた。しかし、試合が8回まで進んだところで謝罪。「ササキは輝かしい将来が約束された選手。名前の発音を間違っていたことを謝罪します」と訂正した。 米国でドラフト指名対象となるのは26年。まだ2年先だが、実況では「ドラフト1巡目指名が見込まれている」と紹介された。MLBドラフトリーグは7月のドラフトまでの前半戦、カナダやオランダなど世界各国から来た、腕自慢のアマチュア選手で構成される。佐々木は3月に高校を卒業したが、米国では9月から新年度が始まるため、練習や紅白戦の出場にとどまっていた。同リーグの詳細打撃データは、MLBの30球団に共有される。名門大学の入学前に、早くもメジャーの注目を集めたことは間違いない。 ◆MLBドラフトリーグ 21年創設。毎年6月上旬から9月上旬(今季は6月4日~9月4日)に開催。6チームが参加し、各チーム80試合を行う。7月のドラフトまでの前半戦はアマチュア選手、後半戦はプロ入りした選手で構成される。世界中から選手が参加し、今年もカナダ、オランダ、パキスタンなどから選手が集う予定。スタットキャストで詳細なデータが集められ、これまで100人以上がドラフト指名を受けている。 ★花巻東OBトリオの高校時代 ◆菊池雄星(07~09年) 1年夏、3年春、夏に甲子園出場。3年春は岩手県勢初の準優勝を導いた。3年夏は明豊戦で今宮健太(現ソフトバンク)との投げ合うなど4強入り。155キロをマークした。ドラフトではレンジャーズと面談したが、最終的にメジャー志望を取り下げ、6球団競合の末に西武入り。 ◆大谷翔平(10~12年) 2年夏、3年春に甲子園出場。大阪桐蔭・藤浪晋太郎、愛工大名電・浜田達郎と「ビッグ3」として注目される。3年春は初戦で藤浪から本塁打を放ったが、投手では9失点で敗れた。高校時代の最速は160キロ。ドラフトではメジャー志望を宣言も、日本ハムが強行指名。入団にこぎつけた。 ◆佐々木麟太郎(21~23年) 父洋さんが監督を務めるチームで2年春、3年夏に甲子園出場。2年春は4打数無安打、8強入りした3年夏は16打数6安打。高校通算140本塁打(公式戦18本)は早実・清宮の111本を超えた。ドラフトでは1位指名が確実視も、プロ志望届を提出せずに米スタンフォード大進学。