自殺対策計画づくりへ長野の市町村がセミナー 改正基本法受け全国に先駆け
地域の傾向に合わせて対策
同代表によると自殺は地域的な特徴があり、市町村によって70代が多い、30~40代が多い、20代が多いなど異なります。法改正に伴い国は全国のこうした地域的特徴を類型化し、それに対応した対策のパッケージを都道府県を通じ市町村に提示し、対策を進めることになります。 市町村は国から示された対策のパッケージを地域の実情に合った内容にカスタマイズして実施。「国はその現場の対策を回収してさらに改善を加え、再び市町村に還元していきます」(清水代表)。 問題を抱えた人たちが助けを求めて訪れても、適切な解決への道を開くことができるのか、関係機関などとの密接な連携が市町村行政の新たな課題になってきます。清水代表は「地域のセンターとして行政のマネジメント力が問われることになりますが、何よりトップの市町村長の方々に推進役になっていただくことが欠かせません」。全国のモデルとして取り組む長野県に注目が集まることになりそうです。 長野県の阿部知事はあいさつで「悩みを持つ人を孤立させてはならない。日ごろからの支え合いで災害にも耐えてきた長野県の強い地域力を大切にしていきたい」と述べました。県は国からの対策情報を市町村に伝えるとともに、自殺対策計画の策定などで支援態勢を取ることにしています。 日本の自殺者は2009年まで14年連続3万人を超えていましたが、2006年に最初の自殺対策基本法が制定されたこともあって2010年から減少傾向。それでも2014年には2万4000人に上っています。自殺者は40~60代の父親世代が35%を占め、20~30代の死因の1位は自殺です。1人が自殺で亡くなると4~5人が遺族になり、自殺は国民的リスクとされています。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説