求められるのは“休止ではなく停戦” 「国境なき医師団」も攻撃に…現地スタッフの無事祈り
人質50人の解放とひき換えに、4日間、戦闘を休止するというイスラエルとハマスの合意。戦闘休止は、日本時間23日午後にも始まる見通しだと海外メディアが伝えました。いまも息子ら親族7人をハマスに人質に取られているという男性が、明かした胸の内は――。 ◇ 22日、息子や孫など、親族7人がイスラム組織「ハマス」に人質にとられているという男性が、イスラエルで心境を語りました。 ギラドさん(親族7人が「ハマス」の人質) 「幸せな一方で、不安な思いもあります…。この“約束”のなかに、私の家族が含まれているかは、わからないので」 “約束”とは、日本時間の22日に発表された、イスラエルとハマスの“一時戦闘休止”にともなう人質解放です。 戦闘休止期間は4日間。その条件として、イスラエル側がパレスチナ人の女性・子どもの囚人を複数人釈放、ハマス側が女性・子どもの人質を50人解放することで合意しました。また、イスラエル政府によりますと、ハマスが追加で10人の人質を解放するごとに、休止期間が1日延長されるということです。 少なくとも50人の人質解放が決まったものの、ハマスにとらわれている人質は200人以上とみられています。 ギラドさん 「(50人に含まれない)他の人質は、どこにいるんでしょう? 全員が解放されることを願っています」 戦闘休止の開始時間については22日、中東の衛星テレビ局・アルジャジーラなどが、ハマスの発表として、「日本時間の23日午後5時から」と報じました。 イスラエルのネタニヤフ首相は、“ハマスせん滅”の目標は変わらないとし、戦闘休止は、あくまで一時的なものだと強調しています。 ◇ zeroが話を聞いたのは、今月5日にガザ地区から日本へ帰国した「国境なき医師団」の白根麻衣子さんです。現地で求められているのは、一時的な休止ではなく、長期的な“停戦”だと訴えます。 国境なき医師団 白根麻衣子さん(今月5日にガザ地区から帰国) 「停戦がない限り、安全な道で患者や民間人が避難することもできない」 イスラエル軍はガザ地区で激しい攻撃を続けていて、「国境なき医師団」も、その攻撃にさらされてしまっているといいます。 白根さん 「『国境なき医師団』の車が攻撃されて、スタッフの家族が亡くなって…」 現地で利用している車には、“MSF”という「国境なき医師団」を表すロゴが、車体のあらゆるところにプリントされていました。 白根さん 「『国境なき医師団』の名前もロゴも、すべて明らかに出ているところが襲撃されたのは、許されるべきことではない」 こうしたなか、白根さんが1週間前に現地スタッフに連絡をとると…。 白根さん(※現地スタッフとのやりとり) 「大丈夫ですか? いつでも、ガザのために祈っています」 現地スタッフ(※現地スタッフとのやりとり) 「No」 この返信を最後に、音信不通に――。 「今まで、どんなに難しい状況でも、『僕たちなんとか生きてるよ』とか言ってたのに。最後に、『No』というのが来て……。今は、本当に、祈るしかできない」 (11月22日放送『news zero』より)