エアマットレスに乗って渡河 「不法移民」が米大統領選の争点に
政権が独裁色を強める南米ベネズエラ出身のアルフォンソさん（36）は、メキシコ北東部と米南部テキサス州を隔てる国境のリオグランデ川を渡った瞬間が今でも忘れられない。 【図解・写真】不法移民巡る両候補の主張、NY現在の様子 空気を入れて膨らませたマットレスに家族や居合わせた妊婦らを乗せ、自身は泳いで川を越えた。ビザ（査証）を持たない不法越境だったが、米国に足を踏み入れると「自由を感じた」。 約4カ月前、妻子と共に米東部ニューヨークに移って来た。現在、マンハッタン地区で市がシェルターとして借り上げたホテルで、家族と共に生活。亡命申請をしながら就労許可証が出るのを待っている。 11月の米大統領選では、アルフォンソさんのように途上国から違法に越境してきた移民の取り扱いが大きな争点になっている。 民主党のハリス副大統領は不法越境の場合の亡命申請を認めないとする一方、幼少期に親に連れられ不法入国した「ドリーマーズ」と呼ばれる人々に市民権を与える制度作りに取り組むと主張している。国境警備隊の人員増加などを盛り込んだ国境管理の強化法案の成立にも意欲を見せる。 これに対し、共和党のトランプ前大統領は不法移民対策として米史上最大の強制送還作戦を開始すると宣言。メキシコ国境沿いの「壁」も完成させるとしている。「カマラ（・ハリス氏）は第三世界の地下牢（ろう）からギャングの構成員や犯罪者を連れてきた。米国市民を食い物にするため、彼らをコミュニティーに住まわせている」と批判している。【ニューヨーク中村聡也】
